村上龍『走れ!タカハシ』レビュー

書誌情報

村上龍『走れ!タカハシ』表紙
走れ!タカハシはしれたかはし
1986/05
NDC:913 | 文学>日本文学>小説 物語
目次:おまえ、いいな巨人戦も観れるんだろ? / まったく一体どうなっているんだろう? / 海へ行って陽焼けをしてきただけではだめで、ただ女をモノにできなかったということだけでオレだけどうしてこう差別されなければならないのだろうか? (ほか)

レビュー

広島カープのタカハシヨシヒコが走れるかどうかで決定してしまう僕の人生。文字通り神のような彼と、観客席側の不随意に運命づけられる者たちの短編集。珍しくもコミカル。PART4のハッピーエンドぶりが清々しいね。
読了:2000/09/01

長めの感想

村上龍の『走れ! タカハシ』読んだと思ってたんですよ。内容覚えてなくて本も処分してしまったので掲載できずにいたんですが、椎名誠を筆頭に完全掲載を目指したい作家のひとりではあるので、古本屋の100円コーナーで見つけて再び買ってきたんです。で、紹介文書くためにパラパラと再読しようとしたら、これ、多分読んでないんです。いや、以前に買ったのは間違いないんですよ。手元の記録に残ってますので。読む前に読んだと思いこんで処分しちゃってたんですかね。これも野球嫌いがなせるワザか。

で、気をとりなおして読んでたんですが、面白いじゃないですか。著者の作品では珍しく素直に笑える短編集でね。広島カープのタカハシヨシヒコと言われても、僕には顔も思い浮かばないし何の基礎知識もありません。まだ現役の選手なのかどうかも知りませんし、広島カープという球団が現存するのかどうかも知りません(怒るな、笑っとけ)。ああ、ちょっとネットで検索してみると、随分昔に引退してるんですね。

このタカハシヨシヒコなる人物が盗塁し、ホームランを打つ、そのときに、主人公たちの人生は大きく回転するのです。例えば、「彼女の部屋へ窓から忍び込む→父親に見つかり告訴すると言われる→タカハシヨシヒコが盗塁する→男は無罪放免となる」という感じ。つまりナンセンスな四コマ漫画の三コマ目に、タカハシヨシヒコが走るのです。なかなか楽しめます。

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