お多度もかけるぜ伊勢参り。鈴鹿に松阪も

行程

[三重/伊勢、松阪、鈴鹿] 以前に伊勢に行ったとき、外宮だけで内宮のほうには行かなかったんですよ。それが心残りというか、伊勢に行ったことになってないって思って、もう一回行ってきました。
「お多度もかけるぜ伊勢参り。鈴鹿に松阪も」地図
2006-04-30
東京―多度―鈴鹿
2006-05-01
鈴鹿―椿大神社―鈴鹿―松阪
2006-05-02
松阪―斎宮―伊勢
2006-05-03
伊勢―松阪
2006-05-04
松阪―津―鼓ヶ浦―四日市
2006-05-05
四日市―東京

旅行記

2006-04-30(1日目/日曜日)
多度大社は水の匂いの社

多度大社本宮
多度大社本宮

今回、伊勢に参ろうと思って出てきたのですが、三重県内、興味ある寺社がいろいろあるのであわせてめぐってきました。まずは桑名方面は多度。近鉄養老線、多度駅を降りて徒歩15分、「お伊勢参らばお多度もかけよ、お多度かけねば片参り」と詠われた多度大社です。慣習に則って、多度も参ろうと思ったのですね。きょうび、こんなに律儀な旅人も少なかろうという。

結果的に言うと、今回の旅で一番気に入った場所がここです。本宮へ向かって参道を歩いていると空気が変わっていくのが肌に感じられ、一番奥の本宮と別宮に挟まれた空間は非常に清浄な場所です。私の中のよからぬものが抜けていくような気持ちよさがあります。

多度大社の滝は龍の穴
多度大社の滝は龍の穴

写真は本宮すぐ右手にある滝ですが、この水の匂いがね、格別なんですよ。龍が見えますか? 風水が言うところの「龍穴」があるという話です。

帰り際、参集殿のベンチで座っていたところ、「液晶テレビってダメね。テレビの上にこけし置けないんだもの」って後ろで談話してるおばさんが。思わずぎょっとして振り返りつつ、ああ下界に戻ってきたのだな、と思いました。

鈴鹿エリア、近鉄鈴鹿線平田町駅まで出て、駅前のビジネスホテルに投宿。Googleマップでよさそうな店を目星付け夕食に出たところ、「夜の街」エリアだったようで「お兄さん、こんばんわー」と次々声を掛けられる。肝心の店は定休日でがっかり、ラーメン屋でラーメンを食べて帰る。重松清『疾走』をがっつり読む。

2006-05-01(2日目/月曜日)
知る人ぞ知る、椿大神社

パワースポット、椿大神社
パワースポット、椿大神社

鈴鹿といっても、サーキットには興味ありません。平田町駅からバスで50分の山すそにある椿大神社へ。四日市からもバスがありますが、平田町からのほうが便数多いようです。観光客などいない、近所のおばあさんしか乗ってないバスです。

椿大神社(つばきおおかみやしろ)は猿田彦大神を祀る神社の総本山。猿田彦は道案内をした神ですから、新たな道を進もうとされてる方に特に霊験あらたかなのだとか。「新たな道を進むべきなんだったら教えてくれ」というやや身勝手なお願いをしてきました。私の道は示されるでしょうか。

御船磐座。ここに何が降りたのか
御船磐座。ここに何が降りたのか

また「国内有数のパワースポット」であるともいわれる神社です。それゆえ、ぜひとも行ってみたいと思ってたところです。というよりも、今回の旅は伊勢よりこちらへ参拝するのが主目的だったりしまして。そのパワーのほどはうまく体感できなかったのですが……。

境内は広く、参道途中には猿田彦の墳墓といわれる土公神陵や、魂を奉じた御船磐座があり、拝殿右手、別宮椿岸神社を越えた先には松下幸之助が寄進した茶室・庭園もあります。松下幸之助を神として祀る社もあります。それはそれでどうなんだと思いますが。

花の形をしたおみくじが名物ということで、よく見ると恋愛運のおみくじだったりして、迷ったのですがえいやっとひいてきました。結果はちょっとしょんぼりですが、ちいさな椿の花のお守りが入っていて、なかなかかわいいです。携帯電話などに付けるとよさそうです。携帯持っていませんが。

わしわし歩いて荒神山観音寺へ
わしわし歩いて荒神山観音寺へ

神社前の食事処で昼食後、バスで鈴鹿方面へ戻って荒神山観音寺へ。「荒神山の血煙」と浪曲にもなっている博徒が死闘を繰り広げた事件の舞台。誰もいない静かな境内。

その横の鈴鹿フラワーパークで親子連れがお弁当食べてたり少年がスケボーの練習をしてたりするのをしばらくぼんやりと眺めた後、白鳥湖(加佐登調整池)のまわりをぐるっと回るように歩いて加佐登神社へ。いや、ごめんなさい、途中近道できるっぽいところがあって柵を飛び越えて入りました。

日本武尊の白鳥陵
日本武尊の白鳥陵

加佐登神社は日本武尊(ヤマトタケルノミコト)を祀る社。神社裏手の白鳥陵は日本武尊の陵墓だと言われてる。日本武尊の墓と目されるのはいくつかあって、宮内庁が比定するものは実は大阪にあったりするんですけど、「加佐登にあるような小さな円墳じゃかわいそうだ、前方後円墳じゃなくちゃ」みたいな気分的なものだったりするので定かではないんですね。定かではないなら調査したらいいじゃないか、と庶民は思うのですが、調査する気はない、って謎のままになっているのが日本の古代史なのです。

JR加佐登駅まで歩いたのですが、やっぱりこのエリアはJR使いにくいな、とバスで平田町駅まで戻り、近鉄線で松阪まで。津にも寄ろうかと思ったのだけれど気分で飛び越えて松阪まで。

松阪といえば牛でしょう。と良い牛を食わせるらしい店を訪ねたのですが、入り口に置いてあるメニューの前で女性三人組が「1万円だって……」とか言ってる声を聞き逃げ帰る。振り返ると、その女性陣も別の店を探して歩いてる。うむ。

その後、ホテルで重松清『疾走』を午前3時に読み終わり、しばらく放心。今回の旅中、ずっと放心。

2006-05-02(3日目/火曜日)
松阪と、斎宮の女たち

誰もいない松阪城跡
誰もいない松阪城跡

空も曇り気味、昨日とは打って変わって肌寒い朝。御城番屋敷、本居宣長記念館、松阪城跡など松阪市内の見どころを見て歩く。

本居宣長に別段関心があるわけではないのですが、そこにあるから入るというふうに。高校生のグループと見える一団も集っていたのですが、やっぱり関心があるわけではないふうに。

城跡も、石垣が残るのみで天守閣はありません。桜のころはもう少し賑わうのかもしれませんが、緑の時期にはあくまで静かな公園です。

河原に鯉幟が泳ぐ
河原に鯉幟が泳ぐ

松阪を以前に訪れたのは1995年の春。ちょうど10年ぶりの再訪です。その頃にも町の主な見どころは歩いてます。「10年前と、何ひとつ変わらない町」とか思わず言ってしまいそうになるところですが、でも10年も経ったら印象なんてほとんど残ってませんね。初めて歩くのと同じです。

川原にはこいのぼりが掛かっていました。強風に煽られバタバタ揺れるこいのぼり。見物する人もいないなかを泳ぐこいのぼり。よく見ると、いくつか川原に落ちています。

文化財センターにある船形埴輪
文化財センターにある船形埴輪

川を渡って向かうのは松阪市文化財センター。船形埴輪を中心に、宝塚古墳から出土した品々が展示されています。遠足の幼稚園児にまぎれて見学。

太刀などで飾られた埴輪船は全国でも類のないものです。考古学系は結構好き。前日の鈴鹿でも、伊勢国分寺跡があって行きたかったのですが交通不便であきらめたのでした。ってこんなところで言ってもしようがないし。

その他、継松寺、樹敬寺など市内に多くあるお寺などにも立ち寄り、もういいかな、と思ったところで電車に乗って移動。

斎宮の規模を模型で再現するいつきのみや歴史体験館
斎宮の規模を模型で再現するいつきのみや歴史体験館

斎宮駅で下車。明和町にある斎宮は、天皇の代理として伊勢に詰めた女性(斎王)の住まいがあった地です。天皇の娘や姪など、未婚の皇族の女性から占いで選ばれ、京から伊勢へと送り出されたのでした。天皇に代わって伊勢での神事などを執り行う、古代から南北朝の頃まで続いた制度。まぁその程度の前知識は仕入れたうえでの下車です。

駅南にある竹神社に寄った後に駅前のいつきのみや歴史体験館へ。斎宮の様子を1/10に縮小して再現しています。実際にこのあたりがまさに遺構の上にあるのですけれどね。

斎王の森に碑が立つ
斎王の森に碑が立つ

そこから少し北に歩くと、史跡公園斎王の森が。斎王の御殿があったとされる場所で、「斎王宮址」の碑が置かれています。井戸や建物、道の遺構も見られます。斎宮の中心地となるわけですが、最近の研究では竹神社のある場所が中枢だったのではなどとも言われています。

いずれにしても、まだ継続的に発掘途中で全貌の見えていない遺跡です。ちょっとした公園風なのでゆっくりもできるのですが、この日は風が寒くって長居はできません……。

斎宮歴史博物館の展示
斎宮歴史博物館の展示

斎王の森から、無造作に散らばってる古墳を横目に眺めながら歩いて、斎宮歴史博物館へ。資料展示で斎宮と斎王の歴史や生活がよく分かります。王朝文学に見られるように……と無理やり文学に結びつけなくっても、斎宮のこともうちょっと調べてみたい、と思わせるものがありました。

映像ホールで流される「斎王群行」もなかなか力が入っていて見ごたえがあります。8歳で斎王となって父の後朱雀天皇と別れざるを得なかった良子内親王を主人公に据えることで、この制度が持っていたいろんな感情を伝えようとする映像作品です。

しかし、平日といえ、広々とした駐車場に一台も車がないようなガラガラ感で大丈夫なんでしょうか。定休日?と思ってしまいました。

伊勢まで出て、駅近くにある月夜見宮(外宮の別宮)にだけ立ち寄って、ホテルへ。2泊しようとすると翌日はいっぱいだと断られてしまう。とりあえず今日の分だけ取って明日の予定を思案します。

2006-05-03(4日目/水曜日・祝日)
伊勢神宮、外宮から内宮を巡る

外宮。けっこう混んでると思ったが後で行く内宮の比ではない
外宮。けっこう混んでると思ったが後で行く内宮の比ではない

伊勢。まずは伊勢神宮外宮、豊受大神宮に向かう。混んでる。ゴールデンウィーク、後半戦スタート、なんでしょうか世間的には。伊勢は、これ以上観光客を集めない方策を考えないとだめなんじゃなかろうかと思ったりします。もう少し静けさがほしいところ。

正宮前、一般参拝客はここまでしか行けない外玉垣には警備員が立って睨みをきかせていて、すいてたらすいてたで警備員の視線をずっと感じることになって嫌なのですけれどね。後ろから写真撮ってる人に遠慮して落ち着いて参拝できないのはよくないことでしょう。

摂社のひとつ、風宮
摂社のひとつ、風宮

学生時代にやってきたときにはなぜか正宮よりも強い神の気配を感じた風宮。今回はそれほど感じ入ることはありませんでした。風宮ではなく土宮か多賀宮か、他の別宮だったのかもしれないのですが、どれも同じ形をしているので記憶はあいまいなのです。

実は……といって白状するような種類のものではないのですが、私、神社で(お寺ではなおさら)お賽銭を投げることはほとんどないんですね。二拝二拍手一拝できちんと礼はするのですが、賽銭は投げないんですよ。意味の分からないままお金を投げるのって気色の悪いことに感じ出した頃がありましてね。でも学生時代には分からないなりに五円玉を投げるもんだと思って投げていたので、賽銭を投げる人の前に神は現れて、賽銭を投げない今の私には神の威光はやってこないのか? なんてことも考えたりします。

藤が映える勾玉池
藤が映える勾玉池

外宮勾玉池は朱の舞台に藤が映えてキレイです。時期的にはもう少し後のほうがいいんですかね。

外宮から内宮へ向かうバスがあるのですが、乗り場は長蛇の列になっていました。まぁいいや、内宮直行しないで、寄り道しつつちょっと歩くことにします。

宇治山田駅を越えて歩いて光明寺へ。普通はそんなところまで歩いては行かないのかもしれないけど、そのまま徴古館のほうへ向かいます。

伊勢関係の美術品が集まる神宮美術館
伊勢関係の美術品が集まる神宮美術館

この一角には見どころがいくつか集まっています。まず神宮美術館へ入りました。遷宮を記念して寄せられた美術品を収蔵。歌会始の御題にあわせた特別展では今年は「笑み」ということで、心温まるような微笑が並びます。

それから徴古館へ。御装束神宝と呼ばれる、神宮に奉納されている調度品が、20年の遷宮ごとに取り替えられるのですね。取替え後の品が展示されています。美術品としても申し分ないものがぎっしり詰まってます。そのほか、神宮の歴史や謂われなんかの解説を読みつつ周遊。

斎宮の祖、倭姫命の倭姫宮
斎宮の祖、倭姫命の倭姫宮

徴古館、神宮美術館のそばには倭姫宮(やまとひめのみや)が。倭姫命は伊勢の地に神宮を置くように導いたとされてて、先に見た、斎宮(斎王)の祖とも言います。その実在は考証できないのですが。内宮の別宮となるこの宮、大正時代の創建なので新しいです。

外宮と内宮を結ぶバスがここを経由するので、ここからバスに乗って内宮へ向かうことにします。やってきたバスには零れ落ちそうなくらい人が詰まってる。ぎゅうぎゅう。整理券も取りのがすくらい。混みすぎです。

五十鈴川で心身浄化
五十鈴川で心身浄化

終点の内宮で下車、とりあえず腹が減ってきてたので近くの食堂で伊勢うどんの昼食。近年有名になった、太くて伸びたような柔らかさの麺に濃い甘口のタレが掛かってるうどんです。ちょっともっさりしすぎなのでは……とも思いますがそれなりにうまい。

さて人心地ついた後で、ゆるやかに五十鈴川方にある皇大神宮(伊勢神宮・内宮)へ。外宮から内宮へ、という参拝順序は作法にも適ってます。宇治橋を渡り、五十鈴川のほとりで身を清め(た気分になっ)て、正宮へ向かいます。

内宮正宮。近づけません
内宮正宮。近づけません

……なんですかこの混み具合は。石段を登った先が伊勢神宮(内宮)、正宮なのですが、石段にびっしり人が詰まっていて、ほとんど動きません。これそのものが何か宗教儀式のような景観です。

これじゃだめだと、石段の下でお祈りして帰っていく人も多数。私も石段を登るのはあきらめることにします。正宮前、また石段の部分でも、いい「気」が溢れていると聞いていたので残念ではあるのですが、ここに混ざって並ぶと、「お金が儲かりますように」とか邪念で溢れた方々の人の念のほうが強くってやられてしまいそうだったからです。

前回伊勢に来たときには外宮だけ参拝し内宮へは行ってなかったのが後年心残りとなっていて、今回は内宮も行こうと思ってやってきたのですが、もしかしたらまた内宮を参拝できてないことになるのかもしれません。どうしたらいいのですか。

内宮の白馬
内宮の白馬

境内には御神馬、白馬がいます。参拝客みなに写真を撮られ、中には長時間見つめていく人もあり、馬の心中いかばかりか。良く言えば安らかな表情、悪く言えば物を考えるのをやめてしまったような表情をしています。口も半開きです。

人に見つめられる、ということで言えば動物園の動物も同じですが、神馬のすごいところはさらに「拝まれる」ということ。これって相当のストレスになるんだろうなと、思います。

内宮前の旧林崎文庫
内宮前の旧林崎文庫

内宮のすぐ前には宇治神社、旧林崎文庫という小さなスポットもあり、こちらはすごく静か。旧林崎文庫は年2回の特定期間しか入れないのでさもありなんですが、足に効く足神さんである宇治神社も誰ひとりいない。撫でると足の病気が平癒するという石、思うさま撫でてきました。

一方でそばに、おはらい町・おかげ横丁と呼ばれる地区があって、土産物や食事処が並んでいる。古い町並みが再現されていて、ミニテーマパークのようになっています。参拝後に旨いもの食ったりして騒ぐ、江戸時代の伊勢詣と同じような遊び方(?)のできるエリア。ちょっと覗こうかなとも思ったのですが、こちらは竹下通りチックな混雑を呈していたのでやめておきます。

月讀宮に4つの宮が並ぶ
月讀宮に4つの宮が並ぶ

猿田彦神社に参拝し、道なりにあった本屋で物色した後、月讀宮へ。こちらは外宮別宮の月夜見宮と対置するように置かれている内宮の別宮です。4つの宮が横に並ぶ構図。

交通量の多い国道と県道に挟まれた森なのですが、境内にいると車の通る音が川の流れる音のようにも聞こえてきます。不思議。

地面に餌を啄ばむ鳥、ハトかな?と思って近づくとカラスで、さすがは月讀尊、夜の神。

河崎の町並みで見つけた古本屋
河崎の町並みで見つけた古本屋

五十鈴川駅から電車でまた伊勢の駅へ出て、北側の散策。かつて問屋や商家が並んだ古い町は「河崎の町並み」。川沿いに、落ち着いた町並みを見せてます。

なかに味な古本屋があり立ち寄る。伊勢らしく、神宮関係、皇室関係の歴史書類が充実。中古CDは置いてないけど中古レコードはあるぜ、というそんな店。特に買うものはなかったのですが、品揃えは悪くないです。

旭湯でひとっぷろ
旭湯でひとっぷろ

川沿いに、駅へ向かって戻る途中にある立ち寄り湯、旭湯。二見浦の海水を使った汐湯がある。あとはジャグジーとか電気風呂とか。温泉ではないということでしょうね。温泉ではなくたって、ひと風呂浴びてのビールは格別です。

それから松阪まで戻って宿泊。この時点で明日の予定はまったくの空白。鳥羽のほうまで出るか、あるいはそのまま北上してしまうか……と迷いながら寝る。

2006-05-04(5日目/木曜日・祝日)
津・白子を、まぁ、地味に

谷川士清旧宅の展示品
谷川士清旧宅の展示品

北上することにしました。へ。津新町で電車を降り、谷川士清(たにがわことすが)旧宅を訪ねます。江戸時代の国学者で、日本初の動詞活用表である「和語通音」はこれはちょっとすごいことなのかもしれない、と思います。それら、著作物などが展示されています。

ゴールデンウィーク半ばなのに他に客もいなくて暇なのか、館長が付きっ切りで案内してくれます。もう出ようというのに「この戸、見てください、鍵がこう付いているんですよ」とか戸を開け閉めしてみせてくれたり、まぁ熱心な方ではある。

奥ではおばさんが二人額を突き合わせて古文書を読んでる。研究なのか勉学なのかは分かりませんでしたが、「この字は『志』かしら?」とか。

市中心部になる津城跡
市中心部になる津城跡

そのまま歩いて津城跡へ。小ぢんまりとしたただの公園です。藤堂高虎の銅像が立っているのですが、10年前に来たときと同じアングルで写真撮ってみたりも。

昼食後、こちらもただの公園の津偕楽公園を経て、三重県立博物館へ。絶滅危惧種の説明や、化石の展示など。オオサンショウウオが飼われているのですが、今日は1ヶ月ぶりの餌やりの日ということで、みなで見物。いや、見ていけって言うのよ。ぶつ切りの魚を竹に挟んで近づけるとバクッと食いつく……そういうショー(?)です。

県立美術館入り口
県立美術館入り口

自転車の女子高生を追いかけるようにさらに歩いて三重県立美術館へ。エドゥアルド・チリーダ展を展開中。抽象的な形をした鉄・土での作品が中心です。この人は空間芸術のようなので、本来的には「見上げる」もしくは「見渡す」作品のはずで、小さな鉄片を「見下ろす」のはまた違ったものなのかもしれない、と思いました。

常設展でも「これは!」というものはあまりなかったかな。美術に詳しいわけではないので適当なこと言うてますが。

子安観音寺。不断桜は見てません
子安観音寺。不断桜は見てません

鈴鹿は白子エリアへ。電車で鼓ヶ浦まで移動。子安観音寺を詣でる。ここは一年中葉が絶えないという不断桜で知られるのですが(花が絶えないという話もありますが正解は葉が絶えない、か?)それはこれ書いてる帰宅後に知ったのでぜんぜん見てません……。何をしに行ったのか。

子安観音という見どころがあるらしいという話だけで、鼓ヶ浦で降りてみました。そんな風にして小さなスポットをしらみつぶしにしています。もう何の旅なのか分かりませんね。

鼓ヶ浦のネコに挨拶
鼓ヶ浦のネコに挨拶

子安観音は訪ね終わってしまったので、とりあえずこの周辺ではもう行くべきところはないことになるのですが、それじゃあまりにも寂しいので地図を見ながら海に向かって歩くことにしました。海を眺めながら本を読んでても構いませんしね。

近くに猫がいたので挨拶。この旅で見た唯一の猫かもしれない。昔は犬派だったのに、最近はすっかり猫派になってしまいました。すぐ横のお店の猫らしく、写真を撮って去ろうとしてると「変なおっさんに写真撮られたー。わー。」と店の中へ入ってわめいていました。

鼓ヶ浦海水浴場
鼓ヶ浦海水浴場

そのまま海に出ます。鼓ヶ浦海水浴場。ビーチバレーのグループ、波打ち際で足をぱちゃぱちゃしてるファミリー、並んで座るカップル、平和な春の海です。

その後は電車で一駅移動、白子駅から伊勢型紙資料館へ。型紙と、それを使って染めた布などを展示。受付のおばちゃんは「○○さんが漬物持ってきてくれたから取りに来てくれ」と近所のおばちゃんを呼びつけて談笑してたり、親戚の家に遊びに来たようなムードです。

すみません、後半旅程ぐだぐだですね。謝っておきます。

四日市まで出て宿泊。

2006-05-05(6日目/金曜日・祝日)
四日市から東京までの帰路

四日市。午後になったら新幹線混みそうだな、と思って午前中にはもう帰路に着く。よってこの日は何もないのです。(了)