小林恭二『父』

書誌情報

  • ちち
    小林恭二こばやしきょうじ
    2003-03-01
    新潮社 新潮文庫
    満州で生まれ、朝鮮で育ち、一高・東大に進学した輝かしい経歴の「父」は、反面、十代で結核に罹患し、敗戦の引き揚げで弟妹を失う挫折を味わった。天才的資質ゆえに深かった屈託は、独特の直情的行動に現れ、家庭では小学生の「私」に毎夜文学や哲学を講義し、庭中を花で埋め尽くした。そして、鉄鋼会社の役員を退いた後は、自ら死をたぐり寄せるかのようにせき止めシロップを多飲する。鮮烈だった「父」の生と死。

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