現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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人の一生は墓場から始まり、母親の胎内にもぐりこむことで終わる。逆転した時間の中で人がどんどん若返る表題作などの短編集。シンプルな文体にはまだ彼の味は薄い。その分筒井康隆の影響が見えるという人もいるか。文学(小説)
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「私たちは下半身の貧困から解放されなければならず、そのためには寝室の哲学を学ぶ必要がある」として、彼岸先生が語る模擬インタビュー。エクスタシーについて、回数について、決してハウツーではないだけ刺激的。文学(エッセイ)
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渋谷スペイン坂を毒づいたり網走で風に吹かれたり全国津々浦々の紀行エッセイ。面白い土地をピックアップした攻撃的な旅情描写。これ読んでどうしても倉敷へ行きたくなり同じようにムナシサを味わってきました、僕。文学(日記・紀行)
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頭部に異常をもって生まれた子供の死を願いながら、逃亡を続ける鳥。作家としての向き先を決定付けた長編。重いテーマを背負ってしまったのがこの一作で瞭然だが、腐臭を放つその心から目を背けないのは足腰の強さ。文学(小説)
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三遊亭円丈から大山のぶ代、動物園の園長から町のパン職人まで、有名無名問わずの人間絶賛インタビュー企画。どうしてもこの人に会いたいのだ!というトキメク心が素直な文章となり、著者の交友関係の原点ともなる。歴史