現代文学100字レビュー

ピックアップレビュー

  • 『境界』表紙
    勧められて精神科へやってきた男。帰り際追ってきたクラチキミコと名乗る看護婦の病的な言動。病院には別のクラチミチコが勤めている。歪んだ現実、あるいは妄想? 文体の不思議なリズム感が不安を掻きたてる長編。
    文学(小説)
  • 『ねじまき鳥クロニクル 第3部』表紙
    圧倒的完結編。意識の深い深い所から、彼女を連れ帰ることはできるのか。前触れのない暴力衝動とある種の虐殺が緊張感を与えている。やはりパラレルな別世界は独壇場。コミュニケイトの冷たさとその熱量に震撼せよ。
    文学(小説)
  • 『虚構市立不条理中学校 続』表紙
    学校に監禁された主人公は教師達の論理矛盾を突きながら出口を目指す。学校という治外法権の管理社会。不可解な校則。教育とはそもそも何なのだ。大仰な舞台装置で議論を闘わせる「ギロン・アクション小説」完結編。
    文学(小説)
  • 『光ってみえるもの、あれは』表紙
    川上作品としてはわりと素直に少年の成長を見守る青春小説。登場人物には友達みたいな家族だとか女装する親友だとか、定型ながら不思議な綾がある。ハッピーエンドとも言えないのにこの爽やかな読後感はなんなんだ。
    文学(小説)
  • 『地上八階の海』表紙
    アジアに沈没するバックパッカー「真昼の花」、母や兄の平凡な生活に苛立つ「地上八階の海」。世間に馴染めず社会から黙殺される自分を断罪するふりで、正しいのは私のほうだという裏の思いが今風に息苦しくて凄惨。
    文学(小説)

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