現代文学100字レビュー

ピックアップレビュー

  • 『海の向こうで戦争が始まる』表紙
    バカンスの砂浜から一転、対岸で燻りだす戦争の火種を捕らえる視線。何かがここで勃発するという予感、その不快な蠕動。場面の切り替わる部分が映像として、また技術として美しい。大佐の長い独白はすでに彼の味だ。
    文学(小説)
  • 『風音』表紙
    初期作品を映画化後にリライトした長編。「泣き御頭」と呼ばれる特攻隊委員の頭蓋骨が鳴らす風音に、戦後沖縄の記憶を託す。小説的な事件を起こす必要はなくて、ただその泣き声に耳をすましているだけでもいいのに。
    文学(小説)
  • 『町田康詩集』表紙
    文庫オリジナルの自薦詩集。書き下ろし詩篇も入ってるとなれば買わざるを得ない。相も変わらずパンクって言ってもいいし、昔っから文学。って言ってもいいのだが、その言葉を日常に置いてみました。って写真に笑う。
    文学(詩歌)
  • 『官能小説家』表紙
    主題も構成も『日本文学盛衰史』外伝か。樋口一葉と半井桃水の狂気の師弟関係がすさまじく素敵。森鴎外も指摘しているようにロマンチックに過ぎるのだが、愛は伝わる。一葉が「あの人に似てる」ってのはナシで頼む。
    文学(小説)
  • 『鎌倉古都だより』表紙
    故郷の地方紙で掲載されたエッセイ集。懐かしき新潟と現在の鎌倉を往復する心象風景。自作解説だとか、芥川賞受賞の喜びだとか、子煩悩ぶりだとか、実にストレート。クールな作風の土台ともなる方言風温かさがある。
    文学(エッセイ)

主な作家