現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
-
色とりどりの短編集。例えば「経理課長の放送」と「村井長庵」との温度の差はなんだろう。ほのぼのとした笑いと残虐性のどちらが筒井らしいかと言えば残虐性のほうだと思うのだが。でも「経理課長の放送」は面白い。文学(小説)
-
「浦」と呼ばれる閉鎖した土地で、現在と過去を繋ぐ血。中上健次を思わせる土着さ。不意に飛びすぎる修辞に驚き、その記憶の生臭さにうなされながらも、徐々に見えてくる事件には最後まで関心を削がず引っ張られる。文学(小説)
-
ギリシャ・アトスの修道院を訪ね、トルコの兵隊に空手を教える、じっくり腰を据えた紀行。それぞれに趣向は違って、ギリシャ編はやはり修道院的に厳格な空気を漂わせているし、トルコ編は埃っぽく温かい太陽の匂い。文学(日記・紀行)
-
行き当たりばったりの基本精神は変わらないアフリカ編。「マサイ族に会いたい」というのはいいとして、キリマンジャロ登頂を目指しちゃうのはマトモに探検隊だ。富士山と同じ高度で小説原稿を書いている作家の勇姿。文学(日記・紀行)
-
「自問自答の繰り返しだから結論はない」とまえがきで言い切ってるので「その通りだ」と思うしかない、とりとめない思索が連なるエッセイ。ブックオフのシステムに唸ったり、自分のいない世界とか、歳とった、よね?文学(エッセイ)




