現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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どうにもまともな短編集ではない。「マリコちゃん」「ユリコちゃん」「サチコちゃん」と続くタイトルの脱力感。「到着」を短編としていいのかどうかという懐疑。そこにあっては「無人警察」の存在など問題ではない。文学(小説)
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事故により被爆した若夫婦の苦悩。「反核」の想いが強すぎてやや強引なストーリー展開になっているものの、重苦しい心象の描き方で誠実に魅せる。被害&加害ってわぁわぁ言う外野達の凶暴性がコメディみたいに怖い。文学(小説)
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『哀愁の~』続編にあたる自伝的青春小説。小さな会社に勤め始めたころ。業界紙の編集をしてギャンブルをして恋をする。勤め人として「仕事が楽しくなってくる」ムードはなかなかにほほえましい。この前途洋々ぶり。文学(小説)
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ベルリンの壁の崩壊、湾岸戦争など移ろう時代のエッセイ集。知的ゲリラ、あるいは下半身至上主義者がめぐる世界紀行としていろいろ収録。湾岸戦争における日本の戦争に関する論考は、30歳となった青二才の現在地点。文学(エッセイ)
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著者が監督をした映画の脚本。銃撃を受けて音楽生命を失ったサックス奏者のその後を追う。夢のように脈略のない出来事どれもが、あり得べき未来なのか。「このシーン全般が理解を越えている」というト書きが破格値。文学(戯曲)




