現代文学100字レビュー

ピックアップレビュー

  • 『あるようなないような』表紙
    初のエッセイ集。文章のテンポとあいまって、古きよき時代の日本が匂い立つよう。SMAPの話をしてるのに豆腐屋のらっぱが聞こえてくるか。巻末にある「パソコン通信」時代の話は、そんなことしてたんだと意外な感じ。
    文学(エッセイ)
  • 『死んでもカメラを離しません』表紙
    報道カメラマンとして「撮ったもん勝ちじゃ!」とガシガシ金星を上げる。塀の中の麻原を撮った瞬間などこちらにも興奮が伝わってくるね。関西ノリの文体もその腕前を隠すかのように。執念に裏打ちされた運はすごい。
    文学(ルポ)
  • 『蚊學ノ書』表紙
    蚊への興味から編纂された、一冊まるごと蚊だらけの痒い本。短編小説、エッセイ、座談会に各種データで徹底的に蚊を追い詰める。その生態について科学的論考などもしていて、これを読めば蚊博士になれるが嬉しいか?
    文学(エッセイ)
  • 『ねむり』表紙
    『TVピープル』収録の「眠り」を改稿、文体を絞り上げながら、ドイツ語版のイラストとともにアートブック調の一冊に。もとよりあった倦怠感や薄暗さ、死の匂いが、ドリーミーなイラストでよりいっそう粘力を増した。
    文学(小説)
  • 『子猫が読む乱暴者日記』表紙
    どうしてこうも乱暴者なの? ストーリーはどこにもなくてどす黒い感情だけで書き進む。小説を書くのが嫌なんだろう、投げやりな短編断章集。だのに言葉の端々に蹴つまづいているうちに楽しめてたりするのは不思議。
    文学(小説)

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