現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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盲目の少女に小説を朗読して聞かせる留学生の愛と失意。排他的な街で苛立ちを少しずつ貯蓄してゆく「外人」の心の震えが丁寧に描かれる。視線という小道具も上手い。賛否両論かもしれないが彼の比喩の癖は結構好き。文学(小説)
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授業の合間に先生がしてくれた雑談が「総合的学習」になってたりするんだという趣旨。受験とは無関係に歴史や宇宙に思いを馳せるのは楽しい事だから。でもこんな風に聖書と天使の話を力説する教師は問題にされるか。文学(エッセイ)
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コンビニを舞台にした青春小説。鑑賞サボテンとか時代のムードを漂わせる小道具をうまく配置しているあたり、著者らしい小憎らしさ。この気だるい若さは、僕らのいた世界。ノスタルジックに読むことが可能な近過去。文学(小説)
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追われる身のヤクザが高い塔(神の座?)に隠れる。背中に虹の刺青を入れることになる。一色入れる度に一変する世界が眩い。それでもカタルシスは終章まで周到に回避され続けて、虹の完成をじれて待たされる仕掛けだ。文学(小説)
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ベトナム戦争期のオキナワ米軍基地を舞台した長編。思想より手前に行動があるがゆえ、くっきり「反戦」。物語としての起伏は用意されているのだが、それ以上に著者の主張が明確に伝わることの良し悪しはあるよなぁ。文学(小説)




