現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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『クラウディ』のモチーフとなった亡命家ベレンコに会うために、北米大陸を横断する。自由の国アメリカで暮らす彼に人生を重ねてきた作家、かつて「世界は幻なんだからっ」と叫んだ作家が報告する現代アメリカ事情。文学(エッセイ)
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構成の美しさが光る短編集。一日に五千回も死にたくなる男の表題作は、奇妙な爽快感が読後にある。自転車の軋みが聴こえてくるリアリティだ。「トマトの話」は上手すぎて先が読めるにも関わらず感動的だし。いいよ。文学(小説)
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孤島で謎の男を監視する。男は小屋のなかから忽然と消え失せる…というようなストーリーには作品的な重要さはなくて、終章のテロルのやり方だけが鑑賞ポイント。ネタだとしても自己弁護の恥ずかしさが来るので無理。文学(小説)
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「絶望居士」のコント集。キルケゴールの『死に至る病』を主低音にしているとかはどうでもいいことで、吉田戦車系不条理の笑いが満載。テレビ的でもあるが。隕石の影響で耳(?)の大きくなってしまった男の話がいい。文学(戯曲)
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予告され続けたゴースト小説。西部劇と奥の細道と哀しき正義の味方が時空を超える。滅び行く文学に、終わり行く世界に大いなる愛を。ゴーストは、そして『正義』は見つかるのか。今世紀末の世界文学を代表する傑作。文学(小説)