現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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文庫オリジナルのコント集。一人芝居という分野を完成させた著者ら独自の世界。名キャラクター・バーテンの怪しい挙動が読むだけで見える。よくある平凡な会話がこれだけ面白いってことに、アンテナが伸び縮みする。文学(戯曲)
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狗塚家と冠木家の血筋に見える異能者たちを追いながら東北の歴史を捏造する長編。殺戮術、天狗、鳥居、記憶と記録。細かな整合性を取らないままこれだけのボリュームを突っ走るのはやや辛いんだが熱量はすんごいね。文学(小説)
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15人の作家論。ケルアックから山田詠美まで、論の分量もバラバラなんだけど、「全部僕の好きな作家です」の統一感でその魅力が伝わる。特に日夏耿之介の詩作は精密に分析され、知らなくても読みたくなるような出来。文学
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ついに冬のヨーロッパへ、完結編。自分はどこへ向おうとしているのかと激しく問うことで、この旅の句点を求め始める。果たしてロンドン中央郵便局から「ワレ成功セリ」の電報は打てるのか。絶対旅に出たくなる名文。文学(日記・紀行)
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大学闘争の祝祭を描いたデビュー作。リンチ殺人、機動隊との衝突、事件の渦中にいながら主人公は何もしない。ただ見つめるだけだ。ただ遊園地へと逃げ込むだけだ。「遅れてきた世代」の無気力感が充満する時代考証。文学(小説)




