現代文学100字レビュー

ピックアップレビュー

  • 『花を運ぶ妹』表紙
    麻薬ではめられ捕まった兄を救うため妹はバリ島へ飛ぶ。妹の西欧的感覚をほぐしてゆくアジアの風土と、画家たる兄が見出す画布に落としきれない色彩が重層的に描かれる。このタイトルが効いてくる後半が非常によい。
    文学(小説)
  • 『やどかりとペットボトル』表紙
    子供の頃のエピソードから始まるとか「初エッセイ」らしい構成でネタの拾い方もヌルいんだけど、八重山の風景の新鮮さで読ませる。まじめに主張しようとする挿話より適当に書き飛ばした諧謔のほうが著者らしく好み。
    文学(エッセイ)
  • 『真夏の魔術』表紙
    青春短編集。キラキラと輝く少年達の夏。馬鹿だったり、いらいらしたり、恋したり、泣いたり。キャンプ場での恋なんてまさにそれなのだが、失った時間を懐古するような視点から書かれているので一抹の淋しさはある。
    文学(小説)
  • 『ターン』表紙
    時の流れから脱落して一人同じ1日を繰り返す。音のない世界の永遠の7月。乗り辛い二人称小説だと思ってたのだが、鳴らないはずの電話が鳴る中盤以降はぐっと引き込まれる。こんな明確な救済ってなかなかないもんね。
    文学(小説)
  • 『蚊』表紙
    黒煙のように大発生した蚊と格闘する表題作を含む短編集。超常物と私小説系がともに入っている。「日本読書公社」の読書が仕事ってのは夢のよう。私小説系では哀しくて優しい気持ちになれる「海を見に行く」がいい。
    文学(小説)

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