松浦寿輝

松浦寿輝プロフィール&ガイド

松浦寿輝(まつうらひさき)―1954年生まれ(70歳)。東京都文京区出身。詩人、小説家。

東京大学名誉教授。

1988年『冬の本』で第18回高見順賞、1996年『折口信夫論』で第9回三島由紀夫賞、2000年『知の庭園』で第50回芸術選奨、同年『花腐し』で第123回芥川賞、2004年『半島』で第56回読売文学賞(小説賞)、2005年『あやめ 鰈 ひかがみ』で第9回木山捷平文学賞、2009年『吃水都市』で第17回萩原朔太郎賞、2012年その活動により紫綬褒章、2017年『名誉と恍惚』で第27回Bunkamuraドゥマゴ文学賞および第53回谷崎潤一郎賞、2019年『人外』で第72回野間文芸賞受賞。

幻想的な、夢うつつの合間を漂うような作風が魅力。

関連作家・似てるかも作家:古井由吉 黒川創 堀江敏幸 庄野潤三 奥泉光 金井美恵子 福澤徹三 丸谷才一 権田萬治 佐々木基一

松浦寿輝おすすめ本ベスト3

  1. 『半島』表紙
    日常から逃亡してやってきた小さな島で、幻覚的な体験をする男の長編。暗闇を走るトロッコ、ヴェトナム料理屋の娘、時間も空間も歪んで無限環となる。読者が期待するカタルシスをすべて回避するような文章に酔って。
    文学(小説)
  2. 『あやめ 鰈 ひかがみ』表紙
    死んだ男が見る最後の夢。異界の感覚でありながら現実味のある風景に、くたびれ果てた登場人物たちの厭世的言動を乗っけた中編三編。この捨て鉢な情感を作る言葉が上手すぎる。鰈が完全に死臭を発していて怖すぎる。
    文学(小説)
  3. 『そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所』表紙
    緊密な連作を想像させる造本イメージよりはもうちょっと振れ幅のある短編集。普段使わない領域を弄ってくるような文体に酔いながら、気づけばモノトーンの世界にどっぷり浸かってる。冒頭の銅版画の印象が最後まで。
    文学(小説)

松浦寿輝レビュー一覧(13冊)

  1. 『不可能』表紙
    主人公が「生き残った三島由紀夫」、あるいはすでに死んでいる男の連作小説。IFでも作家論でもなく、甘い死臭漂うナルシシズムだけを嗅いだ。終盤、突然動いてミステリ風になるのが良くも悪くも全体の色を変えてる。
    文学(小説)
  2. 『吃水都市』表紙
    散文詩集。水底に揺れる幻の東京。廃墟で水垢が腐敗していく臭い。人間が誰もいなくなった後、都市だけが一人自らの荒廃を見つめているようだ。濃密なイメージに溺れて、旧い修辞に目を眩まされ、余韻の残る読後感。
    文学(詩歌)

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