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現代文学100字レビュー
5つ星つけました。『回転ドアは、順番に』。詩集というべきか歌集と呼ぶべきか迷いますが、もしも歌集だとしたら、僕にとって「歌集で泣いた初めての体験」ということになります。
男と女の出会いとその行き先、シンプルなストーリーがあるんですが、最近流行の純愛小説だったら「ありがちね」ってそれほど感動もしなかったような気がします。あるいは少女漫画とかね。珍しくもない展開です。
それが短詩形式だからこそ感じる時間の流れだとか、一語に込められた感情の総量だとかにやられてしまいました。穂村弘はともかく、東直子という人はあまり知らなかったんですが、この二人の言語感覚はすごいですね。
恋愛関係にない(んですよね?)二人が書いた恋歌として、これだけ揺さぶられるなんて、歌人とは恐ろしいものです。