村上春樹『海辺のカフカ』レビュー

書誌情報

村上春樹『海辺のカフカ』表紙
海辺のカフカうみべのかふか
2002/09
NDC:913 | 文学>日本文学>小説 物語
目次:海辺のカフカ

レビュー

15歳の家出少年と猫と話せる老人が、互いの空白に吸い込まれるように四国を目指す。夢と記憶の危険な境界で、自分の想像に責任を持つ気概が真に迫るね。伏線が伏せられっぱなしな箇所がいつになく多いがどうなのか。
読了:2002/09/01

長めの感想

タマちゃんはまだ放浪してるのか。なぜだ。

ま、そんなことはいいとして、『海辺のカフカ』読了です。主人公が15歳で(15歳には思えないと誰もが言いますが)、これまでの「僕」とはもちろん違いますし、不思議な雰囲気です。これまで「僕」一人が背負い込んでいた責任を、いろんな人が分担しているような感じがしますね。ナカタさん、星野ちゃん、佐伯さんも大島さんも。それゆえに皆が「繋がっている」温かみが前面にあります。たとえ全ての人間が本質的に孤独なものであっても。

そういう意味では各登場人物が果たすべき役割が明確になってて、特に星野ちゃんの日本神話的な活躍ぶりは主人公の座を奪う勢いです。大島さんに仮託された立ち位置はちょっとどうかなと思いましたが、それでもそれぞれの登場人物の光らせ方はやはり上手いと。

100字レビューのほうには伏線が伏せられっぱなしだとか書いたんですが、ここで提出されている謎をみんなで語り合ったりする、という楽しみ方もまたありなのかもしれませんね。それそういう意味だったのか! それだったら時間ずれてないか? そんなとこに繋がる? 図書館ってやっぱりアレなのか。

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