見沢知廉『囚人狂時代』

現代文学100字レビュー

作品情報

見沢知廉『囚人狂時代』の表紙画像
タイトル
囚人狂時代
かな
しゅうじんきょうじだい
著者
NDC
916 文学>日本文学>記録 手記 ルポルタージュ
目次
素顔 / 狂気 / 境界
評価
★★★★☆
レビュー
刑務所ルポ。模範的反抗囚ぶりを発揮する新右翼の獄中12年。告発調でなく面白いエピソードを次々繰り出す「塀の中の愉快な仲間達」。狂気の盆踊りに見えるすさまじいばかりの臨床例がワンランク上の映像になってる。

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むかし八王子に住んでまして、「医療刑務所」のすぐ横も何度も通ったことがあります。片倉のブックオフへ行くときなんぞ自転車でちゃりちゃりと。それでもあの壁の中が、あんなことになっていたなんて知りませんでした。『囚人狂時代』。最近新作が出ましたけど、見沢知廉のベストセラーとなった(?)獄内記です。

雑居房なり工場なり、そういった情報はあちこちにあるのでだいたい想像できるんですが、この「医療刑務所」のすさまじさには参りました。特に「盆踊り」。精神を病み一般刑務所にいられない人々を収容する場所なわけですが、数少ない余興たる盆踊りで高揚する彼らの姿、こんな生々しいシーンはなかなかないですよ。しかも冷静な観察者たる著者の視線がものすごく怖いです。この章だけでも読む価値あります。

以前、上司(女性)に彼の『天皇ごっこ』を求められ貸した折、その場で著者近影を見て「こんな人だったの!? イメージ違うぅ」と女子高生みたいに叫んでました。確かシノヤマキシンの撮ったポートレイトがダヴィンチだかに載ってたから、その写真でのおっとこまえぶりと比較したんでしょうが。そんなミーハーな読まれ方は絶対似合わない作家でしょう。政治犯だし。

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