紀伊水道を跳び越えて

旅行記

行程

2002-04-28
東京―京都
2002-04-29
京都―奈良―王寺―吉野―和歌山
2002-04-30
和歌山―徳島
2002-05-01
徳島―美馬―阿波池田―高知
2002-05-02
高知
2002-05-03
高知―室戸岬―甲浦―海部―徳島
2002-05-04
徳島―和歌山
2002-05-05
和歌山―天王寺―名古屋
2002-05-06
名古屋―東京

吉野から和歌山に出たら、徳島へ渡りたくなったんですよね。四国へ行くのにこんなルートもあるよというサンプル。あまり参考にならないかもしれませんが。

2002年4月28日(1日目) 京都まで

「出発する前には会社の同僚に、南紀か四国か韓国か、って絞りきれない選択肢を語ったりしてたんだけど。韓国ってのは博多から船に乗って釜山へ入って、そこから慶州なんかを歩いてこようというようなプランだったんだけどさ。出掛けにパスポート引っ張り出して多くもない出入国スタンプをパラパラ眺めているうちに面倒くさくなってそのプランは取りやめて。南紀か四国かという行き先を保留したままとりあえず新幹線に乗るんだけどさ。なぜかこの日は京都に泊まってんだよ。南紀にも四国にも、中途半端じゃない? よく分からない行動だよね」

2002年4月29日(2日目) 吉野を歩く

吉野の蔵王堂
吉野の蔵王堂

「写真は吉野の蔵王堂。京都で、奈良経由で和歌山までの切符を買ったんだよ。時刻表めくってるうちに和歌山から徳島への船が出てるのに気づいて、急速にそそられつつあって、でも和歌山から南下して南紀ってプランも捨てきれずにいて、和歌山までの切符」

「近隣の寺でもめぐろうと奈良駅で降りたんだけど、駅前でボーイスカウトが元気に募金のお願いをしててさ。あーなんか悪い暗示だ。とか思ってまたすぐ列車に乗って王寺まで来た。書店でガイドブックを立読みして、やっぱり何紀がいいかな、って『アイじゃぱん 南紀・和歌山』なるガイドブックを買って、途中高野山へでも行こうかなってそのガイドブック見て考えながら、また列車に乗るんだ」

「でも吉野へ。吉野口駅のホームで、吉野行きの列車が向かい側に止まってたんで発作的に乗り換えてしまっててさ。さっき買ったガイドブックにも吉野は載ってないんだけど、気づいたら吉野でロープウェイに乗ってた」

「つい最近、うちの掲示板で書かれてた奥吉野の西行庵へ行こうと思ったんだけどさ、駅でトレッキングマップ入手してみるとそこまで7キロもありやがんの。目的地は山の上だから、すべて上り坂の7キロだな。まぁ行けるとこまで行こうって歩いて。金峯山寺の蔵王堂、堂々とした風格があって。修験の地だよね。ってぶつぶつ言いながらそばの茶屋でビールと柿の葉ずしの昼食をとって、ビールくさい汗だらだら流しながら延々歩くわけさ」

吉野水分神社
吉野水分神社

「実は上までバスもあるんだけど、登りは徒歩にて行きたかったわけ。カチにて詣でたかったわけ。帰りはバスでもいいかなとか」

「行程の半ばにある吉野水分神社。水分でみくまりと読むらしいんだけども。もうここは熊野って感じの社だよな。子守りの神だとかで、なんつーんだ、よだれかけ?とかオムツなんかが奉納されてる。受け付けのおばちゃんがスリリンをやっててびっくりしたんだけど。知らないよね、スリザーリンク、略してスリリンなんてパズル。昔はぼくもエキスパートだった」

「マップを見るとここまでで4キロ。いちおうの終点となってて、これからはオプションコースと書いてある。タバコ吸いなんでもうぜえぜえ言ってんだけども、終点までいかなきゃ」

「この辺からは遠望がきいて、緑一色の山容が見渡せるんだけれど、さっき参った蔵王堂がはるか遠くに、それでも確かな存在感をもって鎮座ましましてるんだよね」

奥吉野の静かな山道
奥吉野の静かな山道

「そうこうするうちに奥吉野のバス停があって。下山の最終バスが15時30分だって書いてある。いま何時ってその辺に座ってた眠たげなおっちゃんに尋ねると14時30分だって言うじゃないか。ここから目的地たる西行庵までは往復2キロなのでぎりぎりちゅうか、終バスのがして歩いて下山する事考えたら目眩がしたのでとりあえず先を急ぐわけだな」

「金峯神社は最近になって社務所が全焼したとかで、悲惨な状態。道真が参拝したり、裏手の塔には義経がこもったとか、由緒正しき神社なのにね。本殿の後ろに石段があって、一般人は登れないんだけども、その石段を登ると何があるのか気になる」

「ここまでは車の通れるアスファルト道だったんだけども、こっからまさしくな山道になってる。もう少しもう少しってわっせわっせ歩いて。木々の薄暗がりと、旅人を転ばせるのを目的に整備された乱雑な敷石とで味のある道で、でもあまりゆっくりもできないのでわっせわっせ歩いて」

吉野の奥にある西行庵
吉野の奥にある西行庵

「ここが西行庵。西行が幽居した地ってことで、簡素な木堂がぽつねんと建ってる。なかには木像、もちろん西行なんだろうけど、木像が座ってる」

「俗塵を離れて、一人こんなとこでひっそり暮らすってのは憧れるよね。食料と防寒の問題さえクリアできるなら、3年くらいはいてもいいな。毎日鳥の鳴き声に目を覚まし、木々の色づきに季節を感じる暮らし」

「1時間を体感時間で計りとるのは得意なんだよね。会社の昼休みの1時間で日ごろ養ってる感覚なので。だから時計なくってももう20分くらいは大丈夫とか分かる。そんなんで西行庵の前で倒木に座ってぼんやりタバコ吹かしたりとか。いやいや、社務所全焼させたのはぼくじゃないっすよ。ちゃんと灰皿携帯してます。道々飲み終わったペットボトルに投げ入れるだけなんだけどさ。お叱りはごもっともで」

「バス、まぎれもなくバスなんだけども、旅館の送迎バスみたいなマイクロで、運転手も普段着で、運賃を手渡すと、さっき時刻を尋ねたおっちゃんに『300円もろたでー』と声をあげてる。あらら、一般市民なおっちゃんだと思ったら切符売り役のおっちゃんだったんだね」

吉野にいた犬
吉野にいた犬

「写真の犬が気になってるだろうけどちょっと待って。バスは駅までは行かなくって、途中の竹林院前で止まる。竹林院には庭園があったので見に入った。豊臣秀吉観桜のおり千利休が作庭、だってさ。すごいじゃん。もちろん桜の季節はもう終わってるし、いまごろ来て庭がどうこう言っても意味ナシかもしれんけども、まぁそれなりのものではある」

「地図上に小さく吉野温泉元湯と書いてあるのを発見。温泉で汗流して帰るってもいいかもなぁと行ってみることにしたんだ。藪道みたいなとこをがしがし下って到着。源泉が湧いてるだけで入浴できない場所か、公共浴場か、旅館か、元湯って意味にはいろいろあるけども、ここは旅館でした。入浴だけってできますか?と聞くと、もう泊まりの人らが入ってるからと断られてしまって愕然と。愕然として旅館の前に座ってた犬を撮ったのがこの写真。いちおうナンバープレートにモザイクかけときました。はい」

「下山して、列車で和歌山まで出た。もう陽は暮れてる。『焼き鳥BAR』って店があってどっちやねんと言いながら入ってみたらまさに焼き鳥バーで、ジンバックで焼き鳥食べるためになってみたりとか」

「駅前でギター弾きが歌ってて、オリジナルかコピーか分からなかったんだけども『破れたシャツが素敵 気休めオーケー』って歌詞が気に入ってしまって、気休めオーケーオーケーって呟きながらホテルへ入って寝た」

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