鶴岡・酒田の豪邸めぐり(2ページ)

旅行記

2005年5月5日(3日目) 鶴岡・酒田、商人たちの夢の跡

致道博物館にある旧西田川郡役所
致道博物館にある旧西田川郡役所

バスで鶴岡中心部へ出、致道博物館に。洋風建築の旧西田川郡役所、茅葺の民家建築、庭園を抱く大名屋敷、ゴッホ風タッチの絵画も収める美術館なんかが集まった、バラバラな印象の敷地。その分、ここだけで鶴岡のいろんな名所を見終えたような気がしてきてしまいます。

史料としても価値のあるものが並んでいるので総じて行って損はないです。特に民家建築はぐっときます。水場になみなみと水が溢れていたり、藁で作った馬の人形(精霊馬。お盆には先祖霊がこの馬に乗って帰ってくるらしいです)が煤けてたり、生活感が残っているようで。

鶴岡公園にはまだ桜が
鶴岡公園にはまだ桜が

鶴ヶ岡城址である鶴岡公園は桜の名所ですが、もう葉が出ているもののまだ花が残ってます。吹奏楽部員が練習してたりする平和な公園です。

園内片隅に立つ大宝館では郷土の作家や偉人が紹介されてます。「藤沢周」って検索しようとしてよく間違って引っかかる藤沢周平や、高山樗牛、田沢稲舟なんかが。

藤沢周平に関しては作品に登場する市内の各ポイントに案内板が立ってたり、書店でもひとコーナー設けられてたり、鶴岡の作家といえばまず藤沢周平というムードです。でもあまり惹かれてない作家なので訪ねたりしません。

庄内藩校致道館
庄内藩校致道館

鶴岡公園のはす向かいにあるのは庄内藩校致道館。藩校の跡で、講堂などが残っています。当時の世界地図や教科書(論語)など教育資料も展示されていて目を引きます。

建物は復元されていないものの、裏手にもいろんな施設の跡地として広いスペースが公開されています。

ここもそうだしさきほどの大宝館もそうなんですが、入館料が無料で、その代わりに住所・氏名・ミニアンケートの記入が必須になっています。金取っていいからそんな面倒なもの書かせるなよと。藩校入り口では他の人が書いてた隙に強行突破したのですが、見終わって出るときに捕まりました。「お客さん、まだ書いてませんよね」って。よう見てるなぁ。

とんがり帽子の鶴岡カトリック教会天主堂
とんがり帽子の鶴岡カトリック教会天主堂

ひとつひとつ形状の違う凝った橋のかかる内川沿いに歩くと鶴岡カトリック教会天主堂があります。庄内藩家老の屋敷があった場所だそうで、立派な武家風の門構えをくぐった先、右手に幼稚園、左手にロマネスク様式の流麗な教会が立つ、不思議な空間です。

内部には世界的にも珍しい黒いマリア像があって、日本ではここだけのものだとか。黒いというか、褐色の肌ですね。推量で物を言ってたら怒られるかもしれませんが、これってアフリカ系の多い地域や中東で「自分たちと同じ肌のマリア」という信仰のされ方をしたものじゃないんでしょうか。なぜ日本で黒いマリアなのか、その経緯はよく分かりませんでした。

真っ黒な肌だった頃のことを悔いてる女の子はとりあえずお祈りに行っとけ、って感じですかね。

ベネディクト16世に拍手する天使
ベネディクト16世に拍手する天使

聖堂入り口のホワイトボードに新教皇ベネディクト16世誕生をお祝いする天使が書いてありました。タイムリー。可愛くて思わず撮ってしまいました。

いま「ベネディクト16世」でぐぐってみたらもう7万件もヒットする。すごい世の中になったものですね、しみじみ。そのうち8割近くが「法王」って言ってるけども、カトリックでは「教皇」と呼ぶんだということを改めてここで確認。

旧風間家住宅丙申堂
旧風間家住宅丙申堂

教会の一本北の通りには旧風間家住宅、丙申堂があります。豪商の邸宅ですね。非常に細やかな手入れをされているらしく、まだこのまま人が住めるような環境です。台所の板の間のきしみ方も好ましく。各部屋の襖を放ってるせいなんでしょうが、すごく明るくて、日本家屋の湿った暗さがない。

写真、逆光になっちゃったけど屋根の感じも素敵なんですよ。こんな家ほしいなぁ。

奥にはダイヤルが数字じゃなくて「イロハニホヘト・・・」になっている古い金庫もあります。

猫がいると撮りたくなる
猫がいると撮りたくなる

鶴岡は致道博物館から丙申堂まで、歩いてすぐの非常に近いエリアに固まっているので観光には便利。もうちょっと時間がかかるかなとも思ったんですが、午前中半日で見終わってしまいました。

ちょっと離れたところに「アマゾン民族館」なんて毛色の変わったものもあるんですが、まぁそれはいいかな、と酒田まで出てしまうことにします。

ちなみに旅行ガイドブックは使っていません。駅の観光案内所でもらえる観光マップ片手に歩いてます。プラス、ネットの情報。出版不況うんぬんで嘆いている暇があるならガイドブックの1冊や2冊率先して買ってもいいわけなんですが、なくても問題ないんですよねぇ。

猫の昼寝を邪魔したりしながら駅に向かって歩き、10年前の本が10年分の埃を積もらせたまま棚にささってる本屋を覗き、途中の小汚い食堂で親戚の家に呼ばれたような昼食を取り、食堂のおばあさんに持ってけとせんべいを持たされ、列車に乗ります。

本間美術館
本間美術館

ほどなくやってきた酒田。駅の近くから徐々に遠くへ見ていくことにして、まずは本間美術館へ。

正面には美術品を展示する新館があり、庭園(鶴舞園)を見ながら歩いた先に写真の本館があります。酒田の豪商、本間家の別荘です。庭とセットで美しい絵になります。

建物も、ちゃんとデコボコした古ガラスを入れてたりして、当時の様子を守っています。つるんとしたガラスじゃなくって、向こう側の風景が歪んで見えるような古ガラスがはまっているだけで、なんともいえぬ味が出ますね。

文人との交流を示す展示品のなかに谷川俊太郎による詩の色紙もありました。……という「旅と現代文学。」な話題があったら余さず取り上げないと。

酒田市立資料館の「昭和の家」
酒田市立資料館の「昭和の家」

いったん駅へ戻って反対側へ行くと清亀園があります。こちらは酒田では本間家に次ぐ豪商、伊藤家の別邸です。なんだか豪邸ばかり見てるような旅ですけれど。建物には入れないのかな、とりあえず庭だけ歩いてきました。

さらに歩いて酒田市立資料館(写真)。民俗資料が充実。特に酒田大火の記録展示が興味深いです。強風に煽られて市街が一晩で焼け落ちたさまが地図や写真で詳しく紹介されています。今だったらここまで延焼はしないんでしょうけれど、火の用心はしっかりと。

この日は「竹とくらし展」でしたけれど、企画展示も力が入ってます。

本間家旧本邸
本間家旧本邸

本間家旧本邸。このあたり一番の財閥だった家なわけですね。

室内で刀を振り回せないように鴨居が低く造ってあるんですよとか、欄間が抜けてるのも密談防止のためなんですねとか、団体客に説明してる案内係の話を横で聞く。士分ももらった商家として抜かりないですね。鶴岡の丙申堂では「ここに住んでみたいな」と思わせる落ち着きがあったのですが、本間家のほうはもう少し硬質な、ピリピリした空気がある感じです。

通りを挟んで向かいには「店(当時の店舗)」があります。

この辺で夕暮れ、時間切れとなったため、そばのホテルに入りました。荷物を置いて夕食に出るかなと思っていると、廊下でおばさま方の声がする。「バスタオル持った?」「あら嫌だ、忘れちゃったわ、ガチャガチャ(閉めたドアをまた開ける音)」なんて言ってます。ホテルに大浴場なんてなかったよな、付近に温泉でもあったんだっけ?と思って調べると、ほど近いところに日帰り入浴施設があるらしく。僕もタオルを持って出、食事の後に温泉に向かうことにします。

そば・うどん・ラーメンの店に入ると椎名誠のサイン色紙が(なぜか2枚も)飾ってある。へぇ、椎名誠お気に入りの店なのか、と思いながら「天ざるとビール」と頼むと、「蕎麦もうどんも終わっちゃったんです」と言う。要するにラーメンしかないらしい。じゃチャーシューメンを……。と頼んで待つと、全然ビールが出てこない。そばと一緒にキャンセル扱いにされちゃったんでしょうか。しょんぼりしつつ椎名誠サインをよく見ると「ワンタンメン」という文字が添えられてる。ワンタンメンにすればよかった!と後悔しながら、ビールも飲まず出てきたチャーシューメンを食べました。そんなコンディションで食べて、おいしくなかったですよ、もちろん。

スパ・ガーデンで温泉
スパ・ガーデンで温泉

立ち寄り温泉はここ、スパ・ガーデン。単純温泉。露天風呂(子供たちが泳いでたけど)やサウナ(混んでたので入れなかったけど)もあり悪くない。

風呂上り、ホテルへ戻ってビール。夕食時に飲めませんでしたからね、ここで挽回しないと。

しかし、初日からどのホテルも予約なしの当日飛び込みなのですが、ゴールデンウィークだから数件電話してようやく空き部屋が見つかるという状態を想像してたのにみな1軒目で入れました。観光客全然来てないんでしょうか。

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