両毛線を走破、栃木・佐野・足利、三都物語

行程

[栃木/栃木、佐野、足利] 栃木県南西部、小山から高崎を結んで走る両毛線。乗ったことなかったので乗りたかったんです。沿線の見どころ、栃木、佐野、足利に立ち寄ります。
「両毛線を走破、栃木・佐野・足利、三都物語」地図
2008-07-20
福島―栃木―佐野
2008-07-21
佐野―足利―東京

旅行記

2008-07-20(1日目/日曜日)
小江戸・栃木を散策して

巴波川
巴波川

妻の実家福島を出て、東京への帰り道の寄り道回り道。両毛線にまだ乗ったことがなかったので乗りに行ってみました。路線としては田園風景のなかを走るのみで面白い車窓があるわけでもないんですが、行ってみたかった町が点在してます。

まずは栃木。県名と同名なのに県庁所在地じゃない、栃木の町。江戸期、商都として栄えた名残の蔵の町並みがあるところです。「小江戸」と呼ばれますね。舟運を支えた巴波川沿いに見どころが整備されています。

昼刻だったので、観光の前に昼食。ここでは「じゃがいも入り焼きそば」に突撃します。その名のとおりジャガイモの入った焼きそば、栃木のB級グルメとして名高いやつです。小さな、おばちゃんが一人でやってるような店が市内に点在しています。さてその味はというと「じゃがいもが入った焼きそばだ」としか表現のしようがないものの、ビールには合います。と言い訳しながら昼ビール。

塚田歴史伝承館
塚田歴史伝承館

食後に「塚田歴史伝説館」へ。回漕問屋を営んだ豪商の白壁土蔵が立ち並んでいて、往時を想像させる古道具や設備の展示があります。

ここでの見ものは動く人形(ロボット)で生活を再現したもので、これがかなり怖い。本物と見間違えます。UPした写真で言うと、三味線ひいてるおばあちゃんと横の猫は(ロボットがいるよと事前知識があったので)分かりましたが、手前に座ってるおじいさんはすぐ横に行くまで観光客だと思ってました。これも人形かよ!ってびっくりします。

また蔵を使った人形ロボット芝居、栃木の伝説「うずま川秘話」を伝える芝居がまた素晴らしい。手がぷるぷる震える演技(?)だけでしばらくネタとして笑えます。川の氾濫を止めるために、若い娘を人柱として龍神に捧げる、悲しい話なんです。悲しい話なんですけど、ロボットの身振りが凄まじすぎて笑えるという。これは必見です。

大平山
大平山

塚田歴史伝説館前からバスに乗って、太平山へ。桜、アジサイ、紅葉など季節ごとに美しい景観を見せる山ですが、アジサイも終わった季節でやや残念。参道の石段にこぼれ落ちそうなくらいに咲き開くアジサイはキレイそうですね。

この長い石段を登った先に太平山神社があります。なんとなく、この神社に寄りたかったのです。土地土地の大きな神社はきちんと参拝したいなぁということでね。

太平山神社
太平山神社

汗だくでたどり着いた太平山神社。神仏習合的な色があるというか、神社らしくないゆるさがあるところです(悪い意味ではないです)。変わった名前の「交通安全神社」「蛇神社」、足の病気に霊験がある「足尾神社」など、境内社が本殿の横に連なっています。

境内社を辿っていくと展望台があり、売店で冷たいものを売っていたので眺望を眺めながらかき氷。熱い体を冷やします。

周辺はハイキングコースになっていたり、もう少し行くと奥社などもあったのですが、そこまで行く元気はなかったのでそのまま石段を降りて戻ります。

とちぎ蔵の街美術館
とちぎ蔵の街美術館

山から降りて、もう少し栃木市内を散策。蔵の街を歩きます。美術館、歴史館、山車会館、狭いエリアに見どころが集中しているので回りやすいです。駅で拾ってきた観光パンフレットを片手に、主なところは見られました。どれも「ふーん」という以上の感想はあんまりなかったりするのですが、こういう観光施設はそういうんでもいい気がします。

中心部を外れると、観光とはまた違った顔の蔵の街がありました。生活のなかの手入れされてない蔵、崩れかけて修復の手がない古民家、商都としてはもう終了、静かに余生を送る栃木の貌でしょうか。失礼な言い方だったらすんません、でもメインストリート沿いに梁から潰れた民家が放置されてるのを見かけ、かなり衝撃的な風景だったもので……。

夜は両毛線に乗って佐野へ。途中で見つけた佐野のB級グルメ「いもフライ」をかじったりしながらホテルサンルート佐野に向かい、荷物を置いたあとは夕食に出ます。

佐野の味といえばラーメン、青竹で打った縮れ麺が目印の佐野ご当地ラーメンでしょ。あらかじめ、駅から徒歩圏内で行ける店でよさげな候補を見つけてきてたのですがうっかり定休日だったりして、結局適当に入ったラーメン店で。しかし美味かったですよ。

ホテルでは併設の岩盤浴施設で汗を流したあと、屋上のビアホールでビール。満足。

2008-07-21(2日目/月曜日・祝日)
佐野から足利へ、足利市の町

佐野厄除け大師
佐野厄除け大師

佐野の朝。佐野厄除け大師へ。関東三大師として名高い佐野厄除け大師惣宗寺。一部工事をしているところもあって、わさわさした感じがあるものの、厄除けの祈祷を力込めてやってますという感じが力強くあります。それほど広くない境内にみなぎるパワー。私は厄除けをやってもらったことがない(たぶん今後もやる必要を見出さない)のですが、ここなら安心して任せられるのではないでしょうか(適当)。

佐野厄除け大師 金銅大梵鐘
佐野厄除け大師 金銅大梵鐘

一方で、お寺全体に、避けがたく商業臭が漂っています。その象徴が黄金の鐘。人間国宝が造った、立派な出来の梵鐘なのですが、なぜにこれほど金ピカ。ひと撞きするごとに大判小判がちゃりちゃり落ちてきそうな黄金感です。「やっぱりなんだかんだいってお金って大事ですよねぇ」って笑いながらそれをお坊さんがせっせと集めてるのを勝手にイメージします。失礼なこと言ってますか。大丈夫ですか。

厄除なら、都心から車で一時間で着いちゃう、佐野厄除け大師で!(唐突)

足利学校
足利学校

さて佐野を後にして、両毛線で足利へ出ます。織物で栄えた街で、足利氏の故郷。織物に関する史料を展示する足利まちなか遊学館を覗いてから足利学校へ。足利学校は日本最古の総合大学と呼べる史跡で、当時の勉学の様子を再現した建物が並んでいます。

このあたりは世界遺産認定を目指してるのですね。石見銀山が世界遺産なのだったら足利だって負けてないです。がんばって。

鑁阿寺
鑁阿寺

しゃれたギャラリーや土産物店が並ぶストリートを経て、鑁阿寺へ。足利市が建てた氏寺。もともとは足利市の館で、日本100名城のひとつでもあります。お城というと城郭建築を想像しますけど、ここには天守閣等はない居館でした。領主が住まわって、防衛拠点的な機能があればそれは城と呼べるものなのですね。

そういった歴史を踏まえてみると、静けさのなかに、武家としての背筋の伸び具合が感じられるお寺です。

そうそう、足利は相田みつを出身地らしく。鑁阿寺前の通りには相田みつをのグッズがいっぱい売ってました。……足利じゃなくてもあるかもしれませんが。

足利織姫神社
足利織姫神社

洋食屋でパスタな昼食(鑁阿寺裏手の「伊太利亜料理レストランぽるか」。うまかったよ)としたあと、しばらく歩いて足利織姫神社へ。織物の街としての産業神の織姫を祭る神社、また縁結びの神として知られています。

鮮やかな色彩の社殿、女性的な優しさのある神社です。市街を見渡せる高台にあって気持ちのいい空間です。

なんだか最近は足利ひめたまとして「萌えおこし」をやってるらしいですね。ある意味がっかりですが。由緒もパワーもある神社なのに萌えで街おこしが必要ですか。そうですか。

八木節
八木節

駅へ戻ろうかという途中、観光客向けの八木節公演をやっているのを見つけました。観光案内所と土産物店が一体となった太平記館にて。しかしながら、観客が少ない……。私を入れて4人くらいしか見ていないなか、熱演くださいました。

以上で観光終了、両毛線で高崎へ出て東京へ南下するルートで帰ります。両毛線を端から端まで通り抜けました。それなりに嬉しい。(了)