穂村弘/東直子『回転ドアは、順番に』レビュー

書誌情報

穂村弘/東直子『回転ドアは、順番に』表紙
回転ドアは、順番にかいてんどあはじゅんばんに
2003/08
NDC:911 | 文学>日本文学>詩歌
目次:遠くから来る自転車を / 青空くさいキスのはじまり / 月を見ながら迷子になった (ほか)

レビュー

恋を歌い、愛を詩う交換詩歌集。キラキラした想いの結晶が夏の残り香を連れてくる。台所から出てきたような語彙で折り重なる呼吸の密度は軽々と現実を超える。中盤の交歓の節が完璧だから、二人の行方が涙腺に響く。
読了:2004/07/07

長めの感想

5つ星つけました。『回転ドアは、順番に』。詩集というべきか歌集と呼ぶべきか迷いますが、もしも歌集だとしたら、僕にとって「歌集で泣いた初めての体験」ということになります。

男と女の出会いとその行き先、シンプルなストーリーがあるんですが、最近流行の純愛小説だったら「ありがちね」ってそれほど感動もしなかったような気がします。あるいは少女漫画とかね。珍しくもない展開です。

それが短詩形式だからこそ感じる時間の流れだとか、一語に込められた感情の総量だとかにやられてしまいました。穂村弘はともかく、東直子という人はあまり知らなかったんですが、この二人の言語感覚はすごいですね。

恋愛関係にない(んですよね?)二人が書いた恋歌として、これだけ揺さぶられるなんて、歌人とは恐ろしいものです。

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