清水義範『バードケージ』レビュー

書誌情報

清水義範『バードケージ』表紙
バードケージばーどけーじ
2004/06
NDC:913 | 文学>日本文学>小説 物語
目次:第一章 袋小路 / 第二章 謎の男 / 第三章 一億円 (ほか)

レビュー

3ヶ月以内に使い切れ、と1億円を渡された予備校生のお話。好きなものを好きなだけ買った後に残る「自分は何がしたいのか?」は道徳の教科書のように、薄汚れた心を突き刺すね。ネパールなんて得意技で固めすぎだが。
読了:2006/01/29

長めの感想

人助けをして御礼にと大金をもらう、なんてニートの見る夢みたいですけども、1億円もらったら何に使いますか。なぜかこんな条件までついてます。

1.楽しく使うこと
2.このゲームのことを他人に言わないこと
3.三か月で使いきること
4.自分のために使い、寄付や募金をしないこと
5.楽しみのために使い、稼ぐためには使わないこと
6.実際に使ったり、楽しんだりするために使うこと
7.週一回話をきかせてくれること

清水義範『バードケージ』での設定。自殺しようとしてた人を助けて、その人から「助けた以上は希望を見せてくれる義務がある。お金が汚いものじゃないってことを私に教えてくれ」みたいなことを請われてですね、三か月で1億使ってみせろと言われるのですね。

普通の大人だったら、株につぎ込もうとか何か事業でも起こそうとか思ったりするんでしょうけど、それは5番目の条件にひっかっかってできないのです。ギャンブルもだめ。それから乗りもしない高級外車を何台も買ったりするのも6番に抵触して不可。そんな状況。

自分だったら何に使うかな・・・と考えて読むのが、こういう小説の正しい愉しみ方と思いますが、こんなゲームじゃまず使えないですわな。小説での結論もちょっと反則なのでは?と思ったりします。中学生向け(?)媒体が初出なので、人生の進路について考えさせるものになってます。

じゃルールなし、宝くじで1億当たる状況ではどうか。1億って微妙な額で、これで一生遊んで暮らせる!というほどの余裕はない金額です。やっぱりそれを元手に稼ぐ方法を何か考えるんでしょうね。夢のような話じゃなくて現実として考えれば。

ああ何億かポンともらえないかな、と夢見ながら、宝くじさえ買わない日常。

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