亜美と麻弥という二人の女児とわたしが出会ったのは、神町に雪が降り積もり、チェーンを履いたバスの走行音がジングルベルみたいに聞こえだした日曜日の夕方だった。
阿部和重には故郷である山形を舞台にしたものが多くあるが、神町は山形から奥羽線で30分ほど北上したところ。『グランド・フィナーレ』では東京を追い出されるようにして帰った田舎神町での生活が描かれる。
「神町サーガ」としてこの町にこだわった作品作りが引き継いでなされている模様。
前作『シンセミア』が「神町」という町そのものを主人公とした物語なので、こちらから読んでみれば阿部和重が神町で何を起こそうとしてるのかが分かるでしょう。
掲載日:2005-02-12