「ゆくんでしょう」女は、はきはきと言った。こんなにはきはきと話すのも、珍しい。
「どこへ」
「真鶴」
やはり真鶴だった。真鶴に、何があるのか、女に聞いた。
「七月には、船がでる」
— 川上弘美『真鶴』
神奈川南西部、真鶴半島のある海辺の町、真鶴。切り立った溶岩台地からなる真鶴半島は、景勝地でもありまたその森が霊気を湛えるスピリチュアルスポットでもあります。
「七月には、船がでる」のは日本三船祭のひとつ、「貴船神社の船祭り」のことか。毎年7月27日・28日に行われます。実際に主人公はこのお祭の日に真鶴へ向かいます。「女」の言う「船」が果たしてこの世の船かどうか分かりませんが・・・。
掲載日:2008-10-19