線路を挟んだ白川の後ろ姿を振り返りながら、自分は一体どうするつもりなんだろうと思う。円覚寺前の白鷺池の橋を渡り、鎌倉街道に出て、どっちへ歩くつもりだ? たぶん、右だろう。北鎌倉女子高校の生徒達が群をなして歩いてくるのと逆に、大船方面にいくのだろう。
— 藤沢周『武曲』
北鎌倉、円覚寺総門と横須賀線の線路を挟んである池が白鷺池。円覚寺の境内地を割って線路が敷かれたわけですね。
主人公は高校剣道部の少年、「大船方面」にはコーチの家があって、そこへ向かおうとしています。剣道でまったく敵わなかったコーチに今一度勝負を挑みたいと向かっています。北鎌女の女の子に声をかけたりもせず。
掲載日:2013-04-28