こちらは東京なぞと違い、家賃は嘘のように安かったが物件は余りなかった。それでも探しているうちには築浅な木造アパートの一階に空部屋が見つかった。七尾湾に面し、窓から内浦の、もの悲しくなるほど静かな海が見えるのを、ひどく気に入ったのである。
「墓前生活」より。
藤澤清造の墓参に、毎月やってくる七尾。毎月のことなのでアパートを借りることにした、という場面。七尾湾に面した、駅から徒歩30分の物件。
まぁ家賃は安いでしょうけども、東京が高すぎるのですよね。
そんでもって作中ではお寺とのやりとりなどで七尾弁がいっぱい出てくるんですが、(私の郷里なので当然ですが)すごく懐かしい。舞城王太郎の操る福井言葉にも親しいものを感じますけど、西村作品での七尾弁はいいね。
掲載日:2012-09-22