その狭い道幅の町を、歩き回る。この田辺という土地が、夜のせいか、私の知っている様々な土地と重なってみえる。だが、私の知りたいのは、田辺という土地であり、田辺の田辺たるゆえんである。
— 中上健次『紀州』
「田辺」より。
和歌山県、紀伊田辺です。この本は南紀をぐるっと経巡るルポなので、田辺はそのなかの一章です。「田辺市」と言うとその範囲は広くて(2005年の合併で広がって)、熊野本宮のほうまで入ってしまうわけですが、ここでは紀伊田辺駅周辺の、田辺です。
熊野古道の中辺路ルート、大辺路ルートの分岐点ということで、古くからの交通の要衝です。田辺の田辺たるゆえんは、私には分かりません。
掲載日:2012-07-27