本州の西端近くに位置する、人口十数万人の港湾都市にして城下町――周防市が、街をあげて沸きたった夏がある。
— 重松清『熱球』
2002年の単行本発行当時も、現在も、「周防市」というのは存在しない市名です。でも、もしかしたら周防市になってたかもしれないのですよね。
山口県の市町村合併で、山口市・防府市ほか4町での合併が検討されてて、2004年ごろの協議会で出てた新市名の一案として「周防市」があがってたのです。結局は観光地としてのネームバリューその他から「山口市」で決定となったのですが、その後、防府市が合併から離脱する形で、昨秋に新「山口市」が誕生してます。
この平成の大合併は、全国あちこちで、いろんなしがらみを見せつける、おもしろいイベントではありました。
それはともかく。作品の舞台も、そのあたりのイメージがされてます。中都市としての防府がその周防市、ちょっとした街の山口市が作品中では「大内市」とされる街の位置づけと同定される。防府は城下町ではないけれども。
掲載日:2006-04-09