男は、じっと僕の目を見つめて、もう一度言った。
「諫早湾、爆破したいんでしょう? 一緒にやろうよ」
戯曲『リンダ リンダ』では「アザハヤ湾」と虚構地名にされていた諫早湾がここではそのまま出てきます。途中から現実と虚構が混ざってくる作品で、やっぱり戯曲の人だな、小説の文脈はヘタだな、と思ったりしましたが、終結部はけっこうドキドキします。
学生運動や当時の熱狂に参加できなかった世代にはやり残した感、自分も何かやらなきゃという感があるのでしょうか。諫早湾の堤防を破壊する・・・のもそのひとつだとは言わないけども。
掲載日:2006-05-21