パリ - 平野啓一郎『葬送』

物語の舞台 - パリ(フランス)

ノアンから帰った日よりずっと、パリでは陰々とした曇天の日が続いていたが、十二月に這入るとそれに雪が加わって、時折積っては、街全体を、水に濡れて白の滲んだ水彩画のような輪郭の甘い景色にした。

19世紀、革命のパリ。ショパンとドラクロワのパリ。日本では江戸後期、まだチョンマゲな時代のパリ。

歴史の表舞台に立つことをやめてしまった国という印象が、現代のヨーロッパ諸国には漂っていて(個人的見解)、フランスもまた然り。現代のパリに比べ、この頃の「パリ」のほうが存在感があります。

ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』は、動の時代にあったパリがしっかり刻まれてますね。

そういえば彼のデビュー作『日蝕』での舞台は15世紀のフランスでした。自ら「ロマンティック三部作」と呼ぶ、『日蝕』『一月物語』、そして『葬送』。ロマンティックな時代のロマンティックなパリです。

掲載日:2005-10-16
※写真はイメージです。地図もイメージであり、写真撮影地点や物語の舞台の特定を意図したものではありません。

図書情報

パリについて

パリ市(パリし、仏: Ville de Paris)、通称パリ(仏: Paris巴里)は、フランスの首都。イル=ド=フランス地域圏の首府。フランス最大の都市であり、同国の政治、経済、文化などの中心地。ロンドンと共に欧州を代表する世界都市。ルーヴル美術館を含む1区を中心として時計回りに20の行政区が並び、エスカルゴと形容される。


[概要]

市域はティエールの城壁跡に造られた環状高速道路の内側の市街地(面積は86.99km2。参考:東京都・山手線の内側は63km2

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