阿部和重

阿部和重プロフィール&ガイド

阿部和重(あべかずしげ)―1968年生まれ(55歳)。山形県東根市出身。小説家、映画評論家。

日本映画学校卒業、演出助手などを経て、1994年『生ける屍の夜』で群像新人文学賞を受賞、デビュー。妻は川上未映子

1994年『生ける屍の夜』(のち『アメリカの夜』と改題)で第37回群像新人文学賞、1999年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞および第58回毎日出版文化賞、2005年「グランド・フィナーレ」で第132回芥川賞、2010年『ピストルズ』で第46回谷崎潤一郎賞受賞。

潔癖症なまでの理路整然さと、論理無用なぶちきれ方の狭間で、登場人物たちはみな美しくも歪んでいます。ちょっと妙な作品で芥川賞となってしまいましたが、装幀含めて話題にもなった『インディヴィジュアル・プロジェクション』から手にとるのがやはり常道です。

関連作家・似てるかも作家:舞城王太郎 川上未映子 中村文則 中原昌也 円城塔 高橋源一郎 平野啓一郎 町田康 村上春樹 青山真治

阿部和重おすすめ本ベスト3

  1. 『シンセミア』表紙
    轢自殺を発端に神の町で連続して起こる事件、世界の審判と救済を見据える大長編。多くの人物が絡み合う物語を編むという意図は分かる。警察官・中山の造形は素晴らしいけど人多すぎ。結末は阿部らしく冷徹でグッド。
    文学(小説)
  2. 『インディヴィジュアル・プロジェクション』表紙
    渋谷で映写技師をしているオヌマの日記。以前武闘集団で危ない仕事をしていた経緯が徐々に明らかになり、夢うつつの戦争状態に突入する。緊張感が最後まで持続する傑作だが、装丁のイロっぽい女の子の意図は不明瞭。
    文学(小説)
  3. 『ニッポニアニッポン』表紙
    トキを密殺することで「ニッポン」を問い直そうとする長編。歪んだナショナリズムと的外れのテロリズムに、インターネット時代がうまくはまってる。引きこもりストーカーな主人公の偏執的な造形が著者らしくていい。
    文学(小説)

阿部和重レビュー一覧(19冊)

  1. 『クエーサーと13番目の柱』表紙
    ミステリ風の切り込みとカーチェイスでドライブ感ある展開。アイドルグループを追跡・監視するなんて歪んだ愛も妄想が引き寄せる未来も、物語のスピードに追いついてなくて、意味を喚起させきれてない気がするけど。
    文学(小説)
  2. 『幼少の帝国』表紙
    サブカルから見える、クールで幼い日本の秘密。「成熟拒否」という論点は(新奇ではないといえ)良いとして、高須クリニックにアンチエイジングの話を聞きに行くとか何かズレてる感じがする。震災前後の断絶では特に。
    社会科学

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