村上龍『希望の国のエクソダス』

現代文学100字レビュー

作品情報

村上龍『希望の国のエクソダス』の表紙画像
タイトル
希望の国のエクソダス
かな
きぼうのくにのえくそだす
著者
NDC
913 文学>日本文学>小説 物語
目次
希望の国のエクソダス
評価
★★★★☆
レビュー
学校を拒否した中学生達がネットビジネスを通じて勢力を伸ばして行く。子供が主導する経済小説という未知の世界。日本の不況脱出モデルであり、「この国には何でもあるが希望だけがない」と主張も痛快な近未来長編。
舞台

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村上龍の新作長編。中学生が、学校は不必要なものだ、あるいは有害なものだとはっきり認識して、自らサバイブする術をネットビジネスの中に見つける話です。著者の中高生への視線と、インターネットへの傾倒、そして最近の経済熱がこういう作品になってつながるとは思ってもみませんでした。

中学生が大人達を雇用して給料を支払う、という話はもう喜劇にはならないということでしょうね。シリアスです。これまでの活動から見えてきた、このままでは日本経済はこんな風になってしまうぜ、という近未来シミュレーションであり警鐘であるわけか。信用を創出するような新しい「希望」が生まれなきゃだめなんだね。

この中の「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」という中学生の言葉は、これまでにも著者がエッセイなどで繰り返し言ってきたことだけれど、中学生に言わせるということでよりクリアに響きます。しかし単純に「面白いっ!」と叫んでいいものかどうか、日本経済の中にいるひとりの大人として、沈鬱な面持ちで「善処します」などと言わなきゃならない気もします。

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