小林恭二

小林恭二プロフィール&ガイド

小林恭二(こばやしきょうじ)―1957年生まれ(66歳)。兵庫県西宮市出身。小説家、俳人。

1984年に『電話男』で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。

1984年『電話男』で第3回海燕新人文学賞、1998年『カブキの日』で第11回三島由紀夫賞受賞。

理が勝っててひねくれてる小説が多い。その歪んだ世界が妙に心地よくて。短歌にも精通していて、短歌論などの著書もあります。めくるめく空洞の小説『小説伝』をまず薦めたいのですが現在絶版なので(何故だ?)、古本屋で買ってください。

関連作家・似てるかも作家:佐藤亜紀 木山捷平 南信長 阿刀田高 富沢有為男 清水良典 梶井純 木原浩勝 関根弘 灰谷健次郎

小林恭二おすすめ本ベスト5

  1. 『カブキの日』表紙
    世界座の楽屋に広がる広大な迷宮を蕪は進む。切幕を与えられた京右衛門の荒れた舞台に、やがて神が降りてくる。歴史を越える「藝」を描きながら文藝の魅力を発揮した長編。神の舞というクライマックスに目も釘付け。
    文学(小説)
  2. 『小説伝・純愛伝』表紙
    小説の中に小説があり、その中に小説がある、その中にまた…という多層構造小説を題材とした小説。未だ誰も最後まで読みきったものがいないというその長大な小説に、周到な準備をして挑む者たちを描く。企画の勝利。
    文学(小説)
  3. 『首の信長』表紙
    歴史管理人のミスから運を失くした信長。何度リセットしてもその首はあっさりはねられる。SFチックな歴史小説集で、ドタバタの中にも色気ある文章。ファンなら怒りそうな幕末の志士伝(オットセイの西郷)なんてのも。
    文学(小説)
  4. 『ゼウスガーデン衰亡史』表紙
    鮫入りプールなど奇抜なアトラクションで注目を集め、日本全土へ勢力を広げ、爛熟し、ついには没落へ至る遊戯場ゼウスガーデン。古代ローマ史を基に、時に戦国武将伝のようでもある年代記。構築的冗談の迫力たるや。
    文学(小説)
  5. 『短歌パラダイス』表紙
    現代を代表する歌人が20人も集まって短歌でバトる「歌合」。歌自身(大滝和子の芽は白眉)や著者の深い読解ももちろん痺れるが、それより褒めあい落としあいの白熱討論がすごい。二日目がやや急ぎ足なのは少々残念だ。
    文学(詩歌)

小林恭二レビュー一覧(20冊)

  1. 『宇田川心中』表紙
    渋谷道玄坂を舞台に、森と渓谷の地であった頃から江戸時代、現代を飛び超える愛憎の流転。何度転生しても再び逢うという約束が浄瑠璃的世界で煌く佳作。後半の派手な展開はやりすぎだけどその過剰さもまた著者の味。
    文学(小説)
  2. 『モンスターフルーツの熟れる時』表紙
    町の風景を食い尽くす「誰とでも寝る女の子」、美貌のために命を削る元彼女、僕はある約束を思い出さなければならない。連作的長編だが、変わり続ける歴史をただ眺める無力感が味わえる。そんな微笑ましく深い絶望。
    文学(小説)

小林恭二の新刊・近刊

  • 加藤ジャンプ/木村衣有子/小林紀晴/ほか『小辞譚 辞書をめぐる10の掌編小説』表紙
    加藤ジャンプ/木村衣有子/小林紀晴/ほか
    2017-04-04
    猿江商會
    詩人、小説家、女優、落語家、写真家、批評家…、異なる10の才能が描く“辞書と言葉と想い”の小さな物語。
  • 小林恭二『これが名句だ!』表紙
    小林恭二
    2014-01-24
    KADOKAWA 角川俳句ライブラリー
    杉田久女、橋本多佳子、寺山修司など16名の個性派俳人の名句を読み解く。名句はなにゆえ名句なのか。俳人の内側にまで迫る確かな筆致で広がる名句の...
  • 小林恭二『短歌パラダイス : 歌合二十四番勝負』表紙
    小林恭二
    2012-09
    岩波書店 岩波新書
    短歌と短歌が一対一で優劣をきそいあう伝統の競技「歌合」(うたあわせ)。この古式ゆかしい遊びを現代によみがえらせるべく、男女二十人の歌人が一堂...