穂村弘詩集
この間ね、会社のエレベーターで乗り合わせた代表取締役に「シバタ君、著作権問題は解決しましたか」と言われたんですよ。もちろん仕事の話だと思ったから、何の著作権?って思い当たるところがなくってアホみたいな顔してるとね、にんまりしながら「音楽著作権」って言うわけですよ。あ! (JASRACかよ!) (無意味にあたふた) なんでそんなこと知ってるんですか! 「いや、ホームページに書いてあったから」・・・って、こんなとこ見にくるなよオイ!
そんなわけで未解決の問題を山ほど抱えたままお送りしております今週のハートブレイク・マンデー。まず一曲聞いていただきましょう。日本語パンクの金字塔、町田町蔵+北澤組で「麦ライス、湯」。
♪~
ってまた歌詞引用するところだったよ! あぶないよ! あまり緊張させないでください代表取締役。
はい。突然ですが穂村弘って知ってますか。高橋源一郎『日本文学盛衰史』を読んだ人なら分かるでしょ。引用してみます。
「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士
例えばこんないかした短歌が、石川啄木が書いたものとして『日本文学盛衰史』に載ってるわけです。もちろんこれは源一郎が創作したファンキーな啄木像であって、実際に詠まれた歌ではないのですが、じゃあ誰の歌かっていうと穂村弘の歌なのですね。
その歌たちがわりとお気に入りだったので、穂村弘って名前は気になってたんです。で、書店で彼の新作詩集『求愛瞳孔反射』が出てたので立読みでパラパラやったんですわ。歌集ではなく詩集ね。目に飛び込んできたのはこんなフレーズ。引用します。
獣姦だ!獣姦だ!
鳩山由紀夫を獣姦だ!
さらに詩を引用します。(JASRACへの当てこすりだなんて曲解しちゃいやん。ってかそろそろしつこいよな)
海へ来たのは
想い出のためではありません
だいいちここには想い出はない
この前者と後者の温度差というか、鳴ってる音量の差に、ヒョッとしびれてですね、思わず買ってしまいました。言葉のインパクトだけで押し切る作品と(しかし「鳩」だから獣姦ってどうよ? ほか江戸家猫八も獣姦されてしまいます)、みっしり情感を盛り込んだ作品が無理なく共存しててね、自分好みかなぁと。
読んだ感想をひとことでいえば「僕が書く詩にそっくりだ」と思ったんです。ええ。僕も昔はよく詩を書いたものです。だから、彼は僕とよく似ているのではないかと、勝手な親近感を抱く会社休みの月曜。