古川日出男『サウンドトラック』レビュー

書誌情報

古川日出男『サウンドトラック』表紙
サウンドトラックさうんどとらっく
2003/09
NDC:913 | 文学>日本文学>小説 物語
目次:サウンドトラック

レビュー

洪水と疫病の熱帯化した東京。崩壊を座して待てない無邪気な破壊神となって少年少女が暴走する。銃火器で、あるいはダンスで。衝動も思想も見えなくて要は人物造形の弱さなのかもしれないが、熱量がはんぱなくて是。
読了:2007/03/18

長めの感想

あまりに似すぎててどう評価しようかと思いながら満点つけました。古川日出男『サウンドトラック』。どう見ても村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』です。

読んでる最中に評判調べたりは普通しないのですが、途中で気になってきたので「サウンドトラック コインロッカーベイビーズ」とかググったら皆似てるって言ってる。安心感と残念な想いを両方抱えつつ本に戻って、読み終わって(文庫の)解説見たらなんだ、解説者の柴田元幸もすでに言ってんじゃん。

文庫になって読んでるようじゃもう遅いのね(何に?)。

『コインロッカー・ベイビーズ』は私のオールタイムベストテンでも5位には入る、村上龍の最高傑作。幼くして親から切り離された擬似兄弟(兄妹)の破壊と再生の祈り。プロットが似てるってことがもちろんベースなんだけれども、この不愉快なアドレナリン量がおんなじ感触。

伏線が回収しきれてなかったり、行動原理がクエスチョンだったり、難と見える部分もいっぱいあるんだけれども、いやとりあえずいいもん読ませてもらいました。

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