暖房の効いたタクシーに乗り込むと、辻野は、「う~、さぶっ」と一度身震いしてから、「あの、道の駅の『虹の湖』ってところまでお願いします」と運転手に告げた。
雪を払っていないような髪をした運転手が、「ああ、青荷温泉のお客さん?」とすぐに尋ねてくる。
「白雪温泉」より。
夫婦でやってきた青荷温泉。青森県にある秘湯の一軒宿の温泉です。ランプの宿。
この小説集には5つの温泉宿が出てくるんですが、そのなかの1軒です。取材として実際に泊まって書かれたとのことですので、ランプの明かりだけでの食事とか描写としてはリアルです。
離れ(十方堂)の部屋に泊まるんですけど、襖一枚へだてた隣室に他のお客さんがいる、のですね。びっくりして仲居さんに尋ねると「それが何か?」風な。いやいや、秘湯ってそんなもんやで。
関連サイト:青荷温泉
掲載日:2008-04-19