鉛温泉 - 川上弘美『風花』

物語の舞台 - 鉛温泉(岩手県 花巻市)

新花巻で降りて、バスに乗った。「自炊もできる温泉なんだよ」真人は言った。(中略)終点で降りると、大きな旅館があった。(中略)五階建ての旅館の玄関には入らず、そのまま裏手へまわってゆく。(中略)しばらく歩くと、二階建ての木造の宿がみえてきた。左右に長く棟が張り出した中央にガラスのがらり扉があり、そこが玄関になっている。

花巻温泉郷へやってきた二人。もちろん小説なので、すべてが現実どおりだとは誰も言ってないわけですが、宿が特定できません。戦前からやってる、風呂が深いとか、ほかに表現されるヒントからは、私も泊まったことのある「鉛温泉 藤三旅館」なのかなとも思うのですが、藤三旅館は木造三階建てなんですよね。バスで終点まで行くと新鉛温泉、愛隣館という「大きな旅館」はそこにありますけども裏手にほかに宿はなし、鉛温泉へ行くなら終点まで乗らずその手前で降りるはずです。

藤三旅館ということにしておきましょうか。ここのお風呂は本当によかったですよ。私が行ったのはもう10年も前なのだな。また行きたい。

小説では、主人公「のゆり」が、夫の不倫疑惑(いや事実としての浮気)に心の整理ができないまま、叔父さんと二人で温泉に来てます。このシチュエーションもよく分からない、温泉旅行です。

掲載日:2012-04-22
鉛温泉イメージ
※写真はイメージです。地図もイメージであり、写真撮影地点や物語の舞台の特定を意図したものではありません。

図書情報

鉛温泉について

鉛温泉(なまりおんせん)は、岩手県花巻市(旧国陸奥国、明治以降は陸中国)花巻温泉郷にある温泉。


[泉質]

5つの源泉を有している。豊富な湯量を有し、全て掛け流しである。

  • アルカリ性単純温泉


[一軒宿「藤三旅館」]

豊沢川沿いに一軒宿の「藤三旅館」(ふじさんりょかん)がある。自炊部(現在は湯治部へ改称)を有し、湯治場でもある

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