飛鳥山での花見も忘れ、王子の狐をも恐れず、私はこのひと区間を何度往復したことだろう。王子駅周辺の雑然とした立体交差の魅力に足りない要素があるとしたら、それはたぶんモノレールくらいのものだ。
「足りない要素」と言っていたモノレールは、JR王子駅ホームからも見える飛鳥山公園に2009年に完成、運行しています。ですので、足りない要素などなくなった、王子です。
引用文中にもある飛鳥山は花見の名所で、徳川吉宗が整備した桜です。「王子の狐」については、王子稲荷にまつわる狐火の伝承、また落語にもなってる人を化かす狐の話です。
そんな歴史ある土地で下町情緒の残る、京浜東北線沿線の住宅街です。作中ではこのあたり一帯が舞台になります。
掲載日:2012-07-21