その日わたしたちが歩いたのは、各駅停車しかとまらない小さな駅で、駅前にはスーパーマーケットもデパートもなく、ロータリーから三方向に、放射線状に商店街が広がっていた。真ん中の商店街が一番大きく、入り口には「パールセンター」と書かれたアーチが建っていた。右側は「一番街」で左側は「大学通り」と、電柱に小さな看板が出ていた。
京王線や中央線という表現もあるので東京には違いないのですが、もちろん架空の町です。町の名前は出てきませんし、描写に100%適合する町もないんだろうと思います。
ほとんど商店街名からのみ、勝手に類推すると、阿佐ヶ谷でしょうか? パールセンターを正面にすると左手が一番街、右手が中杉通り? 作品全体で描かれるトーンも阿佐ヶ谷風といえなくもない。昔は旅館だったのではと思われる古い木造アパートなんてのも実際にあったりするのかもしれません。
現実の町を当てはめて読まれるのは作家にとって本意ではないんでしょうが、こういう読み方もときには楽しいと思いますよ。
関連サイト:阿佐谷パールセンター商店街
掲載日:2005-06-05