涸沢カール - 島田雅彦『僕は模造人間』

物語の舞台 - 涸沢カール(長野県 松本市)

 ここは涸沢カールという賽の川原そっくりの場所だ。米を炊いたり、暇をつぶすのに石を積む人はいるが、それを崩す鬼はいない。

 僕はせっかちな遊牧民たちとともにこぶの裏側を目指して歩き始める。らくだのこぶはバベルの塔とも呼ばれる。地図にはホダカ連峰と記されている。僕が登るのはこぶの中でもとりわけ人を寄せつけたがらない滝谷ドームという名の塔である。

「第五楽章 ブロッケン山の模造人間」より。

山岳部員の主人公、亜久間一人がアタックする穂高連峰。涸沢カールは奥穂高岳に発する氷河によって削られた谷で、穂高登山の基地としてテントが並びます。

掲載日:2012-07-28
※写真はイメージです。地図もイメージであり、写真撮影地点や物語の舞台の特定を意図したものではありません。

図書情報

涸沢カールについて

涸沢カール(からさわカール)は、長野県松本市安曇にある日本有数の氷河圏谷である。


[概要]

涸沢カールの直径は約2kmで、カール底の標高は2,300mである。カール壁の最高点は、槍・穂高連峰の中でも最も高い奥穂高岳(標高3,190m)で、カール壁上端からの比高は約900mあり、日本最大規模のカールである。南側は標高3,000mの稜線である奥穂高岳と前穂高岳を結ぶ吊り尾根が屏風のように視界を遮っている。西にはザイテングラート(ドイツ語: Seitengrat)と呼ばれる支稜の先に穂高岳山荘のある白出のコルが望め、奥穂高より涸沢岳、北穂高岳へと続く穂高連峰の主稜線が連なっている。東側は前穂高岳の北尾根の峰々が並んでおり、その先端は

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