高瀬川に沿って暫く歩き、酔っ払った四五人の大学生が、皆で写真を撮り合っている脇を通った時、裕美子は、「あっ、」と声を発し、バッグの中を覗きながら、
「そうだ、忘れてた。この前のインタヴューの時の写真を預かってきてたんだった。」と立ち止まった。
森鴎外を明確に意識しながらの高瀬川、京都です。
京都三条から四条にかけての繁華街、高瀬川に沿って木屋町通を歩く男作家と女編集者。ラブホテルから出た後のシーンです。
高瀬川はその狭さと浅さから、運河として船運に使われてた様子はなかなか想像しづらかったりするのですが、その歴史もともなって、京都の繁華街に雅な印象を与えます。
掲載日:2012-07-22