筒井康隆
筒井康隆プロフィール&ガイド
筒井康隆(つついやすたか)―1934年生まれ(90歳)。大阪府大阪市出身。小説家、劇作家。
1960年「お助け」(『にぎやかな未来』に所収)でデビュー。
1981年『虚人たち』で第9回泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で第23回谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」(『薬菜飯店』に所収)で第16回川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で第13回日本SF大賞、1999年『わたしのグランパ』で第51回読売文学賞(小説賞)、2002年その活動により紫綬褒章受賞。
ブラックな味わいと、メタフィクションへの意志を武器に、文学の荒野に新たな領土を広げます。これまで読んだなかでは「ハズレだな」ってのは特にないので、どれから読んでも構わないんじゃないかと思いますが、初めて読むという人には手に入りやすいと思われる文庫『家族八景』をおすすめしておきます。断筆から復帰し、まだまだこれからの期待がかかります。
筒井康隆おすすめ本ベスト5
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サイコドラマに始まりユンギストが大喜びしそうな「夢」の奥底へ、心の深部へ潜って行く長編。主人公の属性が推移するなど著者流の実験小説の軽味かと思いきや本気で重厚に心理学的。妻も娘も全部自分だし。すげぇ。文学(小説)
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使える文字が徐々に減って行くという実験小説。それでも最後の一文字になるまで物語としてきちんと成立しているのは素晴らしい。言葉のおもしろさを知っている人だ。誰もやらないことをやろうというその気概を買う。文学(小説)
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人の心を読み取る能力を持ったテレパス七瀬。お手伝いとして入った家庭で聞く心の暗闇。同時発生的に攻撃的な心象風景の描出は家族というものを根底から覆す。人間不信になってもおかしくはない危険な魅力ある連作。文学(小説)
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読者参加の新聞連載小説。投書によって局面は次々に変わり、物語内に登場した作家が投書を読み上げては低俗な読者を罵倒する。虚構の壁を越える終盤の銃撃戦は各レベルを巻き込んで朝刊の爽やかな風景をぶちのめす。文学(小説)
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美人サイコセラピストが夢の中にジャックインして精神治療するサイバー系エンタメ。現実との境界が徐々に揺らいでゆくという予想できる展開ながら、怪物暴れまくりの終盤のスペクタクルは痺れるような想像力の渦だ。文学(小説)
筒井康隆レビュー一覧(24冊)
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死後の世界か幻想か、理性も霧散するヘル。連想するまま次から次へと「地獄絵図」、痛い痛い描写が止まらない。七五調で押し通そうとか、物語上の効果より作家が気持ちいいだけみたいな。そんなやりたい放題の濁流。文学(小説)
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白黒取り混ぜたバラエティ短編。見所は銃撃の最中に日常を演じ続ける「市街戦」だ。小説の有り方を考え続けているからこそできるシュールさで。「馬」は唐突に吉田戦車風。「建物の横の路地には」は局地的にキレイ。文学(小説)
筒井康隆の新刊・近刊
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2025-05-22中央公論新社 中公文庫 つ6-25同時に、しかも別々に誘拐された妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。 自らが小説の登場人物であることを意識しつつ、主人公は必死に捜索するが……。 ...
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2025-01-28KADOKAWA世界から一つずつ文字が消えていく。文字が消えれば、言葉が消える。 言葉で表現できないものは、この世から消える。 ーーいったいどれだけのものを...
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