辻仁成

辻仁成プロフィール&ガイド

辻仁成(つじひとなり)―1959年生まれ(64歳)。東京都南多摩郡日野町(現・日野市)出身。小説家、ミュージシャン。

1985年、バンドECHOESとして『WELCOME TO THE LOST CHILD CLUB』で音楽デビュー。反抗する子供たちの応援歌。1989年作家デビュー。1996年には『天使のわけまえ』で映画監督業もスタート。フランスで暮らす。

1989年『ピアニシモ』で第13回すばる文学賞、1997年『海峡の光』で第116回芥川賞受賞。

作風も文体も、年を経るごとにどんどん変わってます。『海峡の光』あたりで純文学に目覚めた感じなんですけど、初期のほうもまた違った味があります。デビュー作『ピアニシモ』から手に取るのをおすすめ。小説で好きになった人はぜひECHOESを聴いてみてください。また、詩を朗読するユニット「BEAT MUSIK」もあるのでチェックしてみて。

関連作家・似てるかも作家:江國香織 麻野涼 南杏子 歌野晶午 乾くるみ 三上延 内藤了 川村カオリ 角田光代 中村江里子

辻仁成おすすめ本ベスト5

  1. 『カイのおもちゃ箱』表紙
    自閉症の子供、カイが子供達の救世主として街を闊歩する。世界を再建する異能の天使。物語はいろんなところで破綻しつつも、圧倒的ポエジーが全編を貫く不条理的長編。ロックのスピリットを感じさせる初期の名作だ。
    文学(小説)
  2. 『ニュートンの林檎』表紙
    映画監督として成功する主人公の人生に何度も現れては影を落とす元子。祖父とどちらが先に生の意味を解きあかすかという賭けをした彼女は冒険を生き、老人は長編小説を書きあげる。1978年から2005年に至る長い物語。
    文学(小説)
  3. 『ワイルドフラワー』表紙
    カメラマン修行中の僕、自分のゲイ的性向に悩む俺、書くべき物を失くしつつある作家の私。1人の女を巡って3人の想いが交錯するニューヨークの風景。1人称が3つあるという冗長になりがちな構成もうまくこなれている。
    文学(小説)
  4. 『オキーフの恋人オズワルドの追憶』表紙
    失踪した作家を追う編集者の物語と、作家からFDで送られてくる小説が交錯する。半端な心理学とエンタメな探偵挿話が前半は辛いが、整合性が怪しくなるくらい勢いに溢れた後半はさすが著者の味だ。読み止んなくなる。
    文学(小説)
  5. 『太陽待ち』表紙
    映画監督の長い愛、ヒロシマの暑い夏。ルーズマイメモリーという優しい呪文とともにあの時代の「戦争」へと遡行する長編。いろいろな記憶が重なり響きあう構成で、多様な後悔の澱で世界を「汚す」ドラマが光る大作。
    文学(小説)

辻仁成レビュー一覧(67冊)

  1. 『ECHOES-木霊-』表紙
    エッセイ。ECHOES復活に向けた動きとかが中心かと思ったら違った、スピリチュアル系だった。でも比叡山で元三大師を幻視してても不思議と違和感ない、これまでの活動と地続きという感じがする。使命感の溢れ方もね。
    文学(エッセイ)
  2. 『ぼくから遠く離れて』表紙
    女装を強制されて徐々にはまっていく男を主人公に、トランスジェンダーのケーススタディ状態。その心理や源泉にぐっと潜っていくのかと思えば浅め。テレビで見飽きたセクマイバラエティみたいだな。ファッションか?
    文学(小説)

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