村上春樹

村上春樹プロフィール&ガイド

村上春樹(むらかみはるき)―1949年生まれ(75歳)。京都府京都市出身。小説家、翻訳家。

ジャズ喫茶を経営してたのも、野球観戦中に天啓を受けて小説を書き始めたのも、有名な話。

1979年『風の歌を聴け』で第22回群像新人文学賞、1982年『羊をめぐる冒険』で第4回野間文芸新人賞、1985年『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で第21回谷崎潤一郎賞、1995年『ねじまき鳥クロニクル』で第47回読売文学賞(小説賞)、1999年『約束された場所で』で第2回桑原武夫学芸賞、2006年その活動により朝日賞、2007年その活動により第1回早稲田大学坪内逍遙大賞、2009年『1Q84』で第63回毎日出版文化賞受賞。

デビュー作『風の歌を聴け』から『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』、『ダンス・ダンス・ダンス』と物語は連鎖しています。だから『風の歌を聴け』から入るのが真っ当。小洒落た感じが好きじゃない人は「ピンボール」までは我慢して。「羊」できっとはまります。でも名高い『ノルウェイの森』からでも『1Q84』からでももちろん構わないです。どこの本屋でも手に入るだろうしね。重厚な小説作品に対して、エッセイは驚くほど軽みがあって、小説よりエッセイが好きという人も少なくないです。

関連作家・似てるかも作家:村上龍 高橋源一郎 グレイス・ペイリー 河合隼雄 和田誠 川上未映子 平野啓一郎 筒井康隆 小川洋子 吉本ばなな

村上春樹おすすめ本ベスト5

  1. 『ねじまき鳥クロニクル 第1部・第2部』表紙
    猫が消える。妻が消える。井戸の底で座りながら、僕は夢を見る。間宮中尉による(現実感は希薄ながらも)写実的な戦争話、そのブレスの長さは新境地。綿谷ノボルという明確な憎悪の対象が立ち現れるのも好ましい長編。
    文学(小説)
  2. 『羊をめぐる冒険』表紙
    「鼠」三部作完結編。彼の作品に共通する「巨大な喪失感」の落とし前。羊捜しの冒険へと巻き込まれてゆく凡庸な僕は、必然性に導かれるように決定的にそこにいる。魅力的な修辞と重厚な物語で読ませる初期の傑作だ。
    文学(小説)
  3. 『中国行きのスロウ・ボート』表紙
    初の短編集になる。これほど「完璧な短編集」はそうそうない。どれもが触覚的冷たさと痛みに貫かれている。それでいて押し付けがましさはまるでなく、当たり前みたいに静かな物語。表題作は何度読んでも心に染みる。
    文学(小説)
  4. 『ダンス・ダンス・ダンス』表紙
    札幌からハワイへ。失ったもの、失ってゆくもの、僕は踊りつづけ、死は増殖する。『羊をめぐる冒険』の続編。接点を探しているようだ、人や世界とダイレクトに繋がることを求めて。ユキ、五反田君、人物が魅力的だ。
    文学(小説)
  5. 『パン屋再襲撃』表紙
    言葉の冴え冴えとした短編集。変かもしれないけれど「ファミリー・アフェア」が一番。顕微鏡で自分の部屋を覗いているような物哀しい気分になって。文章が洗練されているだけ余計に。「ねじまき鳥」原型も収録する。
    文学(小説)

村上春樹レビュー一覧(79冊)

  1. 『騎士団長殺し』表紙
    肖像画家の主人公を惹きつける騎士団長殺しの絵。唐突に開く「穴」と遠くにある「妻」、お得意のモチーフだなと安心して降りていける暗闇。イデアとしての騎士団長のチャーミングさもあってやっぱり引き込まれるよ。
    文学(小説)
  2. 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』表紙
    「乱れなく調和する親密な場所」から疎外された理由を、16年後に追う巡礼の旅。主人公の造形、その背を押す巫女的女性など春樹らしくも類型的で、足踏み感もあるけど、磨ききった言葉で切り込む内省が瑞々しい色彩。
    文学(小説)

村上春樹の新刊・近刊

  • 村上春樹『デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界』表紙
    村上春樹
    2024-02-22
    文藝春秋
    パーカー、ベイシー、ホリデイ、ゲッツ…ジャズの黄金時代に数多くのジャケット・デザインを手がけた伝説的アーティスト、デヴィッド・ストーン・マー...
  • 村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』表紙
    村上春樹
    2024-02-21
    中央公論新社 単行本
    『風の歌を聴け』でデビューし、翌年『1973年のピンボール』を発表。フィッツジェラルドの翻訳に取り組み、『羊をめぐる冒険』を執筆。その頃書か...
  • スコット・フィッツジェラルド/村上春樹『フィッツジェラルド10 : 傑作選』表紙
    スコット・フィッツジェラルド/村上春樹
    2023-11-21
    中央公論新社 中公文庫
    一冊で見渡す、これがフィッツジェラルドの世界。みずみずしい初期の小説から、早すぎる晩年を迎えた時期の作品まで、村上春樹が思い入れ深く訳してき...