いとうせいこう

いとうせいこうプロフィール&ガイド

いとうせいこう(いとうせいこう)―1961年生まれ(63歳)。東京都葛飾区出身。タレント、小説家。

「ホットドッグプレス」編集者を経て、1985年宮沢章夫、竹中直人らと「ラジカルガジベリビンバシステム」として舞台活動を展開。1988年『ノーライフキング』で作家デビュー。1999年『ボタニカル・ライフ』で第15回講談社エッセイ賞、2013年『想像ラジオ』で第35回野間文芸新人賞受賞。

タレント的活動ゆえ作家としての力量が語られることが多くなかったのですが『ワールズ・エンド・ガーデン』は個人的オールタイムベストテンに入る逸品でした。絶版が悔やまれます。近年、芥川賞候補になるなど、作家として再評価されています。初めて手に取るならデビュー作『ノーライフキング』か。また、日本語ラップの祖としても伝説的です。いやいや冗談じゃなくて。韻を踏み倒す『MESS/AGE』は名盤でした。

関連作家・似てるかも作家:カレル・チャペック みうらじゅん 中村哲 石牟礼道子 小川洋子 リリー・フランキー 岸政彦 山本敏晴 原田ひ香 ピエール瀧

いとうせいこうおすすめ本ベスト5

  1. 『ワールズ・エンド・ガーデン』表紙
    ドラッグと暴力に満ちたムスリム・トーキョーに予言者が迷い込む。宗教やファッション、自分探しといった心理学的要素などさまざまな物語を古典的小説の枠に圧倒的迫力でぶちこんだ近未来長編。結末の不快感も絶妙。
    文学(小説)
  2. 『解体屋外伝』表紙
    『ワールズ・エンド・ガーデン』に登場した解体屋を主人公とした長編。洗濯屋と解体屋の壮絶なサイコ・バトルが繰り広げられる。ギブスンの名を知らずとも楽しめる電脳空間。「暗示の外へ出ろ」。なんてカッコイイ。
    文学(小説)
  3. 『ノーライフキング』表紙
    パソコンゲームが現実に侵食する。呪いを解き明かさなければ死んでしまう。子供達のネットワークを噂が飛び交い、大人達の無理解をよそに闘いが始まる。全体を死のイメージが覆うひやりとした質感。未だ新鮮な物語。
    文学(小説)
  4. 『見仏記』表紙
    仏像探訪の珍道中。法隆寺の百済観音にボディコン娘を見、六波羅蜜寺の空也上人をラッパーだと規定する。遊んでいるようで系統立っている。仏像への愛を感じる。山形立石寺の由来仏エピソードには逆に笑ってしまう。
    芸術・美術
  5. 『難解な絵本』表紙
    パロディーで描く子供の確からさ。例えばこうだ。「お友だち諸君! 我々、井坂山幼稚園ゆき組有志は怒りを行動に移さんとしている!」。子供のドストエフスキーがあり子供の空間プロデューサーがある、良質の絵本。
    文学(エッセイ)

いとうせいこうレビュー一覧(40冊)

  1. 『想像ラジオ』表紙
    津波で木の上に引っかかってしまったDJが死者と生者のために送るラジオ放送。軽妙なトークで勢いよく進むが、直截な鎮魂歌だな。想像力が何より必要ということには同意、想像してたより小説としての強度は高くない。
    文学(小説)
  2. 『BACK 2 BACK』表紙
    2人が一章ずつ即興で紡いだリレー小説。震災を受けて立ち上がった企画、チャリティでもあるんだけど、内容への「震災」の浸透は少ないし、2人もあんまり共振してない。せめてもう少しヒップホップなノリがあればね。
    文学(小説)

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