吉田修一
吉田修一プロフィール&ガイド
吉田修一(よしだしゅういち)―1968年生まれ(55歳)。長崎県長崎市出身。小説家。
1997年、「最後の息子」で文學界新人賞を受賞し、小説家デビュー。
1997年『最後の息子』で第84回文學界新人賞、2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞、同年『パーク・ライフ』で第127回芥川賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞および第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第69回芸術選奨および第14回中央公論文芸賞受賞。
あまり劇的なんじゃなくって、静謐な人間関係を描く作品群。人を描くというよりも、その関係を描くことに、あるいはその距離感を描くことに執心しているように見えます。初めて読むならそんな部分がよく見える『熱帯魚』でしょう、私も初めて読んだのはこれでした。これでもっと物語を揺さぶると阿部和重になっていく気がします。揺さぶらないあたりが吉田修一。
吉田修一おすすめ本ベスト3
-
それぞれにある日曜日の風景。生活のスケッチとしては平凡なのだが、裏ストーリーに当たる幼い兄弟の行く末が気になってるうちに引き込まれる。それがみんな繋がってるってことでさ。力説するんでなく素の顔の余裕。文学(小説)
-
JJ連載なファッショナブルな装いにめげずに読めば、主人公を変えながら複雑な関係性を徐々に見せていく得意なパターン。家族に見せる「ひなた」と、隠された日陰を対置させて、そう来るかって事実に驚愕しっぱなし。文学(小説)
-
温泉を舞台にそれぞれの想いを湯で温める5組の男女の短編集。二人の問題はほとんど解消されずに残るんだけど。5つの作品ごとに違った宿が実名で出てくるので思い立ったら自分も行けるという、旅行書的楽しみもある。文学(小説)
吉田修一レビュー一覧(19冊)
-
淡々とした日常を切り取った短編集で、心理描写は丁寧で適切、著者らしい風景が並ぶのだが地味。「軍艦島でヌード撮影」さえ「そんなこともあった」忘れていい記憶の泡だ。もっと企みを見せてほしいなと消化不良に。文学(小説)
-
ANA機内誌『翼の王国』連載の短編小説&エッセイ。媒体要請どおりでナンだけど、爽やかに旅情をかきたてる。読者が見えてるこの器用な感じがなんとも吉田修一。「恋じゃなくなる日」風な香味も効いてていい味ね。文学(小説)