保坂和志

保坂和志プロフィール&ガイド

保坂和志(ほさかかずし)―1956年生まれ(64歳)。山梨県出身。小説家。

1990年『プレーンソング』でデビュー。

1993年『草の上の朝食』で第15回野間文芸新人賞、1995年『この人の閾』で第113回芥川賞、1997年『季節の記憶』で第33回谷崎潤一郎賞および第25回平林たい子文学賞、2013年『未明の闘争』で第66回野間文芸賞、2018年「こことよそ」(『ハレルヤ』に所収)で第44回川端康成文学賞受賞。

世界を肯定し、不幸な「事件」の起きない丸い地球。ストーリーよりも思索を重視しているし、一見とらえどころのない作品が多いです。まずは子供の可愛さに目を眩ませられてる間にいろんな哲学に取り巻かれてしまう『季節の記憶』を読んでみてください。そして続編『もうひとつの季節』へ進むのが吉。猫が猫のまま(猫以上の意味を背負わされないまま)作中で頻繁に登場するのも特徴。猫好きなら迷わずどうぞ。

関連作家・似てるかも作家:小島信夫 乗代雄介 角田光代 奥泉光 高橋源一郎 三田誠広 柴崎友香 島田雅彦 山田詠美 村上龍

保坂和志おすすめ本ベスト5

  1. 『季節の記憶』表紙
    父と息子、友人たちとの静かな稲村ガ崎。父は浮世離れしてるようでいて厳格に自己規定しているし、息子クイちゃんもその影響下にあるのだが、この関係がすごくいい。クイちゃんの純真が物語を愛らしく中和しながら。
    文学(小説)
  2. 『もうひとつの季節』表紙
    『季節の記憶』の続編で登場人物に猫の茶々丸が加わる。子供と猫という無敵の武器を絡ませたらそれだけで微笑ましい生活が描き切れてしまうのだが、「観念的」な輪が全体をくるんでるので考えさせられる部分は多々。
    文学(小説)
  3. 『カンバセイション・ピース』表紙
    家に残る記憶と気配。人も猫もここで暮らしたという不定形な古写真がぽこぽこ沸いてくる。野球場なんかの無駄に長い細部も全部思索の速度に則っているので、読むことと考えることがイコールになるという読書体験が。
    文学(小説)
  4. 『小説、世界の奏でる音楽』表紙
    五体投地のような小説論三部作、完結編。「ついにここまで」というような到達感は(著者ほどには)僕にはないのだが、小島信夫の死を受けた前後の書き物は霧が晴れたような清明さがある。小説らしい小説を今後に期待。
    文学
  5. 『この人の閾』表紙
    丁寧に心理を追うという意味では正統的な作品集。自分の心を覗きながら生きてる人だね。適度に洗練された会話文は気持ちいいとこ突いてくる。変わった物と変わらない物を確認して鎌倉を歩く「夢のあと」が好きだな。
    文学(小説)

保坂和志レビュー一覧(25冊)

  1. 『カフカ式練習帳』表紙
    小説の断片が脈絡なく現れ、ブツ切れで過ぎてゆく。身辺エッセイみたいな文章も並ぶが、それでも小説だとしか言いようのない感触が残る。「生まれる瞬間」こそが小説だというか、生まれた後のものの捨て方が潔すぎ。
    文学(小説)
  2. 『魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない』表紙
    「小説に見えない小説」と並行して書かれた「小説のようなエッセイ」。指向性が多様だということ以外は、彼の小説論を読んでるのと同じ温度が感じられる。思考する営み。震災後のエッセイは唐突に生々しいけれども。
    文学(エッセイ)

保坂和志の新刊・近刊

  • 保坂和志『猫がこなくなった』表紙
    保坂和志
    2021-01-14
    文藝春秋
    命において死は生きるのと並行して在りつづける――世界がこの言葉を発している。忘れがたい猫たちや風景や書物をめぐる9つの短篇。
  • 保坂和志『読書実録』表紙
    保坂和志
    2019-09-27
    河出書房新社
    本を筆写しながら言語と非言語の閾へと導かれていく私。亡き作家との対話の先で出会う権力の生成点と、小説が導く〈自由〉の地平。
  • 保坂和志『ハレルヤ』表紙
    保坂和志
    2018-07-31
    新潮社
    片目の猫、花ちゃんとの最後の日々「ハレルヤ」他、生きること死ぬことの発見を描いた傑作短篇集。川端賞受賞作「こことよそ」併録。