島田雅彦

島田雅彦プロフィール&ガイド

島田雅彦(しまだまさひこ)―1961年生まれ(63歳)。東京都出身。小説家。

大学在籍中の83年『優しいサヨクのための嬉遊曲』で作家デビュー。芥川賞最多落選記録というのも輝かしい出来事。

1984年『夢遊王国のための音楽』で第6回野間文芸新人賞、1992年『彼岸先生』で第20回泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で第17回伊藤整文学賞、2008年『カオスの娘』で第58回芸術選奨、2016年『虚人の星』で第70回毎日出版文化賞、2019年『君が異端だった頃』で第71回読売文学賞(小説賞)受賞。

必要以上に教養的であろうとする態度と、人を舐めた文体が矛盾なく同居する希有な作家です。宿命的永遠に青二才であるべき人。その毒を飲み込めるかどうかで彼の著作を楽しめるかどうかが分かれると思うんですが、まずは代表作ともリトマス試験紙ともいえる『彼岸先生』をおすすめします。『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』の三部作もおすすめです。

関連作家・似てるかも作家:平野啓一郎 円城塔 高橋源一郎 多和田葉子 東海林さだお 太田和彦 小川洋子 堀江敏幸 池澤夏樹 川上弘美

島田雅彦おすすめ本ベスト5

  1. 『彗星の住人』表紙
    4代100年に渡って繰り広げられる恋物語。駐留米兵の子を身ごもった蝶々夫人、マッカーサーの愛人を寝取った蔵人、恋が歴史を作る。絡まった糸を丸ごと描写する、珍しくも本気の著者。時間の越えかたも素晴らしくて。
    文学(小説)
  2. 『僕は模造人間』表紙
    「自意識過剰な夢想的偽悪少年」の生育過程を描く、著者の毒全開の長編。彼は常に自分を演じている。行動は全て他人を意識した嘘で言葉は自らを裏切る。「思春期」に重ねあわせて読むことも拒否する一大青春讃歌だ。
    文学(小説)
  3. 『美しい魂』表紙
    『彗星の住人』に続く「無限カノン」第二部。皆でびびるほどヤバくはない。恋敵が皇太子でロイヤル臭溢れるというだけの話。それでも裏声で想いを語るカヲルの生き急ぎ方で、恋愛小説として稀に見る力強さを備える。
    文学(小説)
  4. 『預言者の名前』表紙
    宗教を自在に解体して見せた長編。日本人の知性として宗教から最も遠いところで真実を伝道するワタル。冒頭の「改宗者の手紙」から物語はクールに加速し、新しい悟りへ至る。ふしだらな魂が荘厳に響きわたる快作だ。
    文学(小説)
  5. 『彼岸先生』表紙
    夏目漱石『こころ』をパロディーにした、代表作にして問題作。ここで「先生」はポルノ作家であり、精神病院の偉大な患者だ。そのダンディズムに惹かれ氏を師と慕う「ぼく」が出会うものはなにか。日本文学の新基準。
    文学(小説)

島田雅彦レビュー一覧(59冊)

  1. 『徒然王子 第2部』表紙
    テツヒト王子の歴史巡り。縄文期から源平、戦国、江戸時代まで四つの前世を生き直す。「何度生まれ変わってもあなたと出逢う」という情緒色が強くなって、この国を憂うるモードも忘れがちだけどロマンチックで良い。
    文学(小説)
  2. 『小説作法ABC』表紙
    島田雅彦らしい奇抜さがあるのかと思ったらかなりオーソドックスな小説講座。書くために必要な基本的な技術をひとつひとつ身につけていこうという分かりやすさがあって、「読まないけど書きたい」人には向くのでは。
    文学

島田雅彦の新刊・近刊

  • 島田雅彦『散歩哲学』表紙
    島田雅彦
    2024-02-21
    早川書房 ハヤカワ新書
    「昔から思索家はよく歩く。哲学者然り、詩人然り、小説家然り、作曲家然り…よく歩く者はよく考える。よく考える者は自由だ。自由は知性の権利だ」(...
  • 島田雅彦『散歩哲学【NFT電子書籍付】』表紙
    島田雅彦
    2024-02-21
    早川書房 ハヤカワ新書
    「昔から思索家はよく歩く。哲学者然り、詩人然り、小説家然り、作曲家然り…よく歩く者はよく考える。よく考える者は自由だ。自由は知性の権利だ」(...
  • 島田雅彦『好色一代男』表紙
    島田雅彦
    2023-11-07
    河出書房新社 河出文庫 古典新訳コレクション
    生涯で戯れた女性は三七四二人、男性は七二五人。伝説の色好み・世之介の一生を描いた江戸の名作が、島田雅彦の現代語訳で蘇る!