現代文学100字レビュー

ピックアップレビュー

  • 『母なる自然のおっぱい』表紙
    自然と人間の関係を静かに見つめたエッセイ集。環境保護を声高に訴えるのではなく、自然のカタチとそこに住む動物、その一種であるヒトの姿を描写することで、実効的な環境論となっている。科学的考察としても強固。
    文学(エッセイ)
  • 『虹の彼方に』表紙
    2000~06年の時事コラム。政治、国際情勢などへの論考、という意味では『新世紀へようこそ』と似ているが、メールコラムであるあちらと比べるとより抑制が効いてる。でも突き放した感じはしなくって、等身大の言説。
    文学(エッセイ)
  • 『死ぬな、生きろ。』表紙
    9・11以降、生きることと死ぬことの意味を改めて問い直す。「無理するなよ」って救いはともかく宗教的な話はやはり狭くなる気がする。「ロックからブッダへ」なんて涼しい顔で言えちゃうのがこの人の強みではある。
    文学(エッセイ)
  • 『ポニー・テールは、ほどかない』表紙
    完結編。マフィアのボスと恋に落ちた天才ドラマーミッキーの運命やいかに。本来湿っぽくなるはずのエピソードでありながら乾いている。それでいて感動させたりするのだから、作者の計算としての文体はやはり大きい。
    文学(小説)
  • 『眠り姫』表紙
    久しぶりのフィクション。睡眠障害という病理に法廷ドラマ風のやりとり、死刑制度の是非といったいろいろな要素が入っているが、終盤での「催眠合戦」とも言うべきサイコな部分を不埒に楽しんでおこう。小説ですし。
    文学(小説)

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