現代文学100字レビュー

ピックアップレビュー

  • 『天皇ごっこ』表紙
    獄中より発表された新右翼小説。刑務所、精神病院、北朝鮮と章ごとに舞台は変わるが、一貫するのは天皇制への恋慕あるいは憎悪。機動隊とぶつかったり三島の割腹シーンが描かれたりと90年代の作とはとても思えない。
    文学(小説)
  • 『薬菜飯店』表紙
    悪魔的極道的短編集。強力なカタストロフは絶妙。緩急投げ分けているのでバランスよく感じるがスプラッタ・ホラー「偽魔王」なんて相当ヤバイ。「カラダ記念日」の真のすごさは俵万智を読んでいないのでわからない。
    文学(小説)
  • 『ゲルマニウムの夜』表紙
    娑婆から修道院へ戻った朧は罪を重ねつづける。おお神よ!という芥川賞受賞作。しかし、どうにも言葉が固い。特に前半は単にノりづらい修辞の羅列。思ったほどグロくはないが「キックガッツという祈り」は少々痛い。
    文学(小説)
  • 『流転の海』表紙
    長編連作の第一部にあたる。落ちぶれた者、成り上がった者、戦後の何かが胎動を始める時代を描く。「星廻りとケンカをしてこそ、ほんまの人生とは言えんかのお」とある奇跡のように子を授かった熊吾の語調は力強く。
    文学(小説)
  • 『いとしい』表紙
    初期の不条理系方法論をそのまま拡張した長編。ミドリ子の上に黒雲のように集まる鳥だとか部分部分のイメージが鮮烈に膨らむ一方で、読後感は「いとしい」気持ちだけ。そういう意味では恋愛小説だとしか言えないね。
    文学(小説)

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