現代文学100字レビュー

ピックアップレビュー

  • 『むはのむは固め』表紙
    本の雑誌連載のエッセイ。相変わらず日々の移ろいを、読んだ本のことを、そこはかとなく綴ってある。本の雑誌社20周年ということだが文章には全く気負いもなく自然体。旅館でサインを頼まれた「色紙問題」話が好き。
    文学(エッセイ)
  • 『やがて哀しき外国語』表紙
    旅行者ではなく生活者の視点で語られたプリンストン滞在記。(大学で教えることは別として)ジャズを聴いたり走ったり特に変わった生活でもないのだが、日本を離れて日本や文学を考えたりするのは意義があるんだろう。
    文学(エッセイ)
  • 『絶叫委員会』表紙
    町で拾い集めた天使的な言葉を鑑賞する企画。駅の伝言板で見た「犬、特にシーズ犬」、ボクシング中継を見て「どうして手に玉を持ってるの」とか、思いがけず生まれる詩空間。ツッコミもできないくらいの美しさです。
    文学(エッセイ)
  • 『親亀こけたら』表紙
    お得意の社会の断片を切り取った短編集。それぞれ仕掛けが入っているが、よく言えば素直で、悪く言えば薄い。中では「額田銀一郎の年譜」のマルチ人生ぶりがなかなか面白い。彼の著作では久しぶりに笑えた気がする。
    文学(小説)
  • 『雨月』表紙
    ラブホテルのシーツに染みついた情念、この世界からはみ出した女が見つめる暗闇、煙草の空箱で作った山の空虚など彼特有の怠惰な筆致。でも途中からやにわにサスペンス調になってしまうのが「なぁんだ」と思ったり。
    文学(小説)

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