現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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同性愛とSMから始まる短編集と、その外側にある書き手・読み手のメタ構造、なかなか表にならない気持ちと裏腹な行間にまでも技巧が詰まってる。その仕掛けの多様さゆえに読みづらいが、ラストはしっかり切実で来る。文学(小説)
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若干本の話が多いけれど、あえてもう「赤マント系」エッセイとの書き分けもない「本の雑誌系」エッセイ集。無人島でキャンプしながら本を読むような生活を僕も送りたい。しかし、「老人力」からのタイトルはどうか?文学(エッセイ)
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通学列車の中で戦争が始まる。ありふれた田舎不良の小競り合いなのだが、その戦争がもう一つの戦争を誘発する。前半の回りくどさが「本当の戦争」をクリアに見せているが、「わたし」の立場がいまひとつ定まらない。文学(小説)
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石神井公園を舞台に掃除する詩人や悪の総裁、鴎外に老婆がバラバラに練り歩く長編。作中に登場する作家タカハシさんもその無計画さを暴露したりして、「ゴヂラ」の名のもとに全ては解決するのか不安がいや増したり。文学(小説)
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これまでの著作からアフォリズム的な文章を分野別に編集した一冊。つまり著作ではないのだが。確かにこの種の人生誘導的言葉の多い作家ではある。これを胸に刻んで世紀末を一人歩きしよう。ほら、歩いてみろってば。文学(エッセイ)