現代文学100字レビュー
ピックアップレビュー
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1976年から80年に歌われた第二詩集。死んだような街で、何も始まる気配のない街で、何かを待っている。思いきって泣けないだけの淋しさが溢れている。きっと人間が好きなんだろうな、という優しい視線と温かな和音。文学(詩歌)
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欧米で大成功を収めたという映画「トパーズ」からの自信を振りまきながら語ったりするその周辺本。オリジナルシナリオが入ってたりするが、それよりも主演女優二階堂ミホと吉本ばななを招いての鼎談が読み応えあり。文学(戯曲)
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神町サーガ続編。菖蒲家が持つ一子相伝の秘術について聞き書きの形で綴られる。博物誌的な執拗さで冗長な印象だったものが、過去作と連結する終盤には軽い足さばきでいなされてしまう。造って壊すのが阿部風味かね。文学(小説)
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生活者的視点での「路地」、あるいは賎としての芸能の組成について考える。ここまで掘り下げた話は彼のエッセイでも意外と少なかったりする。栗本慎一郎との話もヤバい所まで行ってるし。ほか村上春樹との対談とか。文学(エッセイ)
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産婆にまじないをかけられた息子を救うため駆け回る島の母。世界最速のスプリンターと競ったりするドタバタから、古代文明を幻視するロマン、そして「母の愛」まで盛りだくさんで楽しい作品。楽しければいいじゃん。文学(小説)